2019年09月01日号
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artscapeレビュー

横湯久美展 時間 家の中で 家の外で

2018年04月01日号

会期:2018/03/10~2018/04/21

原爆の図丸木美術館[埼玉県]

ここに来るのは10年ぶりくらいかな。初めて訪れたのは70年代なかばでもう4、5回来ているから、だいたい10年にいちどの割合だ。今日訪れたのはもちろん原爆の図と、横湯久美展を見るため。横湯は20年来、祖母を題材にした写真とテキストによる作品を発表してきた。祖母は第一次世界大戦の開戦年に生まれ、第二次世界大戦中は夫(祖父)とともに戦争に反対して弾圧を受け(夫は治安維持法により逮捕され、仮釈放中に死亡)、戦後半世紀以上を生き伸び、2000年に死去。同展は、祖母のヌードを含むポートレートと、彼女の生涯に世界史を重ねたテキストからなる《時間 家の中で 家の外で》、祖母の死去に際して起こした作者の奇行を記録した《その時のしるし》など、5つのシリーズを再構成したもの。原爆の図のように激烈ではないけれど、さりげなく語りかけてくるのにズンとくる。まるでおばあちゃんみたい。

祖母いわく、「芸術家はワガママであることを最も大切にしている仕事なんだよ」「誰よりも、自由に敏感なんだ。だから、国が戦争を始めようとした時、ほかのどんな職業の人よりも先に、この人たちはその気配に気付いて、みんなにもわかるように大騒ぎをすることができる」「孫のおまえが美術をやっているのだって、絶対に私に似たんだと思う」。横湯が祖母から美術家として、人間として多大な影響を受けたことは間違いない。それは祖母の死後も大きくこそなれ、小さくなることはないだろう。

2018/03/15(村田真)

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