2023年02月01日号
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artscapeレビュー

越後妻有 大地の芸術祭2022 再訪

2022年10月01日号

会期:2022/04/29~2022/11/13

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ[新潟県]

先月に続き、再び越後妻有へ。今回は作品鑑賞が目的ではなかったので、見逃していたしんざ駅周辺の作品を見る。まず、古い大きな民家にインスタレーションした中﨑透の《新しい座椅子で過ごす日々にむけてのいくつかの覚書》。

中﨑は、長年使ってきた座椅子の調子が悪くなったので買い換えようと思いながら、会場となる新座地区の資料を漁っていたら、「新しい座椅子」と「新座」とがつながったという。そこでまず使い古した座椅子を民家の座敷に置くことから始めたら、結果的に民家内の大移動になった模様。座敷には座椅子に花瓶、造花、灰皿などが集められ、キッチンには人形やぬいぐるみ、廊下には木製の糸巻き機、2階の寝室には布団や衣服といったようにアイテムごとに集積され、ところどころカラフルなネオンが挿入されている。この民家の住人がどこに行ったか知らないが、これらを全部置いていったとすればどんだけ物持ちだったのかと呆れてしまう。ほかにも、書棚には手つかずの美術全集がホコリを被り、奥の間には先祖の肖像写真がかかり、一隅にはミニバーまで設えてある。われわれは中﨑の作品を鑑賞しつつ、田舎の生活の実態を目の当たりにすることができるのだ。



中﨑透《新しい座椅子で過ごす日々にむけてのいくつかの覚書》 手前に座椅子。


そこから5分ほど歩いた七和地区にある防災倉庫では、深澤孝史が《スノータワー》を建てている。これは、スノーダンプという除雪道具を数十個積み上げた高さ7、8メートルのモニュメント。スノーダンプはシャベルとチリトリを合体させて巨大化したような形状で、使用場所や用途によって素材やデザインが少しずつ異なるそうだ。ここで使われているのは、近所にある樋熊鉄工所の樋熊武氏が開発した「クマ武」と呼ばれるステンレス製のもので、いわば地域に特化した道具。そういえば以前「大地の芸術祭」で、あるアーティストが除雪車を何台か使って「ロミオとジュリエット」を踊らせたことがあった。冬しか出番のない除雪車を夏にも活躍してもらおうとの主旨だったと記憶するが、スノーダンプも夏のあいだはヒマそうだから、このようにアートの一部として動員されるのは望むところだろう。



深澤孝史《スノータワー》



公式サイト:https://www.echigo-tsumari.jp

2022/09/04(日)(村田真)

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