2022年12月01日号
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artscapeレビュー

Surrender ゆだねる力展─能動と受動の間で

2022年10月01日号

会期:2022/06/17~2022/07/31

Gallery 9.5(HOTEL ANTEROOM KYOTO内)[京都府]

本展は、アーティスト、エンジニア、AI研究者などからなるコレクティブ「 Qosmo コズモ 」による展覧会だ。ステイトメントで明示されていたのだが、同時期に同じく京都で個展を開催していたブライアン・イーノが提唱した「ジェネラティブ・ミュージック」へ連なる系譜として本展は企画されている。

「ジェネラティブ・ミュージック」よりも広い領域を指す「ジェネラティブ・アート」は自律的なシステムやソフトウェアの主体的な挙動を利用するものであるが、そういったシステムに対して人間がどのような切れ目、枠組み、終わり方、ループの仕方を形づくるかという点が、これらの作品化において重視されてきた。Qosmoは特にそのシステムにAIを組み込むことにより、ソフトウェア自体ではなく、人間対非人間というスケールを作品に与えてきた。

例えば出展作の《Suspended Identity》(2022)は二つのモニターとフロントカメラが対面するように並んでいるインスタレーションで、それぞれのフロントカメラは互いの様子を写し合っている。いずれのカメラも外界の情報を収集のうえAIが学習し、自身の内部状況を変化させているのだが、その変化には2種類の志向性が設定されている。外界の模倣、模倣による内部変化の減少をトリガーとした差異化。この動きはフィードバックループを繰り返していくことになる。顔色を窺いながら同質化するコミュニケーションの比喩でもあると思う半面、それではあまりにも他者としてのAIに、ジェネラティブである構造に人間を見出す方法でしか作品を閉じることができていないと自身の想像力の欠如を思うのであった。

観覧は無料でした。


公式サイト:https://qosmo.jp/surrender-kyoto/


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