2022年12月01日号
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artscapeレビュー

現代山形考~藻が湖伝説~(みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2022)

2022年10月01日号

会期:2022/09/03~2022/09/25

文翔館議場ホール(※)[山形県]

※ほか未見の会場:長門屋ひなた蔵・塗蔵、BOTA Theater、山形美術館、山形県立図書館(遊学館内)

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」は2014年から始まり今年で5回目だ。わたしは今回が初めての観覧だったのだが、今年ある七つのプロジェクトのうちのひとつ、企画展「現代山形考~藻が湖伝説~」の「文翔館議場ホール」会場だけを見ることができた。本展は山形盆地が藻が湖に沈んでいたという伝説を起点に、山形の郷土史を再編纂しようとするいくつもの試みを束ねた展覧会であり、2020年にも展覧会が開催されている

そこで2020年の展覧会記録を遡ってみたのだが、今回の出展作と章立ては文言を含めほとんどが重複していた。そして、それらは着実にすべてアップデートされていたのである。わかりやすくは、浅野友理子の《薬草木版画》が2020年には9種であったのが今回は42点を超え、青野文昭が2020年に出展した《「関山トンネル 破棄されたドアの復元から~」のための構想図-1 2020》(2020)は今回完成していたというように。他方で、2020年に続き今回も出展された番場三雄による《文翔館》は「イギリスルネサンス様式を基調とした文翔館」を正面から描いた平面作品であるのだが、今回は東北大学五十嵐太郎研究室によって、その建築史的には有名無実とも言えるラベルに成り下がっている「ルネサンス」の内実を言語化するというプロジェクト「文翔館の時間と空間をひもとく」と並置されることにより、作品の細部を見る眼がつくり直されたかのようだった。

今回、一部の会場しか観覧できなかったが、また今後にも「現代山形考~藻が湖伝説~」が開催され、拡充されるのであれば、わたしは一時の鑑賞者に過ぎないながらも、この企図の広がりを追うことが許されたかのようで、勝手なよろこびを感じた。

なお、展覧会は無料で観覧可能でした。


公式サイト:https://biennale.tuad.ac.jp/project/yamagatako

2022/09/11(日)(きりとりめでる)

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