artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

「INTERSECTION POINT」岡村多佳夫企画と13のアーティスト

会期:2014/05/23~2014/05/28

アユミギャラリー[東京都]

サブタイトルに「岡村多佳夫企画と13のアーティスト」とあるように、13組の出品者は、今年東京造形大を退任した岡村氏がこれまでアユミギャラリーの企画展に取り上げてきたアーティストたち。小さめのギャラリーに13組も出品するので小品ばかりだが、小品だけに思わず買ってみたくなる作品もいくつかあった。文庫本を並べた背表紙や、壁に飾られた絵と絵の隙間らしきものを描いた末永史尚、木枠に張ったキャンバス布の余りを動物の耳に見立てた原游、各国のコインの裏側にレリーフされた建物をフロッタージュして額装した高田安規子・政子、つやつやの豆腐を陶でつくった大槻あかね(その角に頭をぶつける人物像は蛇足)などだ。どれも脱力系を装いつつ絵画の根源に迫っている。残念ながら買う余裕はないけどね。

2014/05/26(月)(村田真)

「ウフィツィ美術館展」記者発表会

会期:2014/05/23

イタリア大使館[東京都]

有楽町から三田へ記者発表会のハシゴ。最近、イタリア関連の展覧会の記者発表会はイタリア大使館で開かれることが多いが、ここは会見場から窓越しに池が見えるのでなんとなくうれしい。同展は9点のボッティチェリを中心に、フィリッポ・リッピ、ブロンヅィーノ、ヴァザーリ、ポントルモらの出品。中(レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロ)を抜いたルネサンス美術展だな。10月11日から12月14日まで東京都美術館にて。

2014/05/23(金)(村田真)

「ホイッスラー展」記者発表会

会期:2014/05/23

日本外国特派員協会[東京都]

今年はジャポニスムの当たり年。モネの《ラ・ジャポネーズ》を目玉とする「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」に続いて、モネ以上にジャポネズラー(こんな言葉はありません)なホイッスラーの登場だ。ホイッスラーはアメリカに生まれ、幼少期をロシアですごし、パリで絵を学び、ロンドンに移住したというコスモポリタンだけに、日本美術を難なく受け入れることができたのかもしれない。実際、彼はモネより10年以上も早く和服を着た白人女性が壷に絵付けする和洋折衷絵画《紫とバラ色:6つのマークのランゲ・ライゼン》を描いている。この作品と《ラ・ジャポネーズ》を隣に並べてみたい欲望にかられるが、じつは「ホイッスラー展」の立ち上がりは京都国立近代美術館(9/13-11/16)で、同じ時期「ボストン美術館展」が向かいの京都市美術館(9/30-11/30)に巡回するので、作品同士が隣り合わせになるわけではないけれど、隣の美術館で両作品を見比べることができるのだ。偶然にしてはできすぎだな。首都圏は12月6日から2015年3月1日まで横浜美術館で開催。

2014/05/23(金)(村田真)

さかもとゆり個展「ヨソノウチノナカノソト」

会期:2014/05/10~2014/05/23

高架下スタジオSite-Aギャラリー[神奈川県]

黄金町芸術学校の陶芸コースでも教えてるアーティストの個展。陶によるタヌキ像が8体、寝たり立ったりいろんなポーズで置かれている。ほかに陶のタヌキ仮面(重くて痛そう)、杯、皿などのグッズも売られ、全体でタヌキのパーティーをイメージしてるらしい。陶のタヌキというと信楽焼を思い出すが、信楽のタヌキほどの愛嬌もキンタマもなく、どっちかというとその色合いとテクスチャーから焼けこげた焼死体を連想させる。ひょっとしてこれは原発で放射能を浴びたタヌキだったりして。原発って木の葉を金に変えるようなもんだし。

2014/05/22(木)(村田真)

リトルアキハバラ・マーケット──日本的イコノロジーの復興

会期:2014/05/10~2014/05/05

A/Dギャラリー[東京都]

これは驚き、この春の卒業制作展で話題になった東北芸工大の久松知子さんの大作《日本の美術を埋葬する》がメインビジュアルに使われている! さっそく行ってみて驚いた。久松と同じ卒業制作展に出していたハタユキコの《ワンダフルニッポン》も展示されてるではないか。同展は、カオス*ラウンジが「架空の都市『LITTLE AKIHABARA』で復興されるコミックマーケットをインスタレーションとして作品化する」というもの。展示はカオス状態でなにがなんだかわからないけど、とにかくにぎやかで楽しめた。

2014/05/19(月)(村田真)