artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
日本のデザインミュージアム実現にむけて展
会期:2013/10/25~2014/02/09
21_21デザインサイト[東京都]
21_21は2007年の開館以来23の企画展を打ってきたという。これら一つひとつを小さなブースにまとめ、「身体は五感」「手仕事の国」「人に笑いを」「デザインは贈物」「自然に学ぶ」などのコピーをつけて紹介している。もともと21_21は「デザインミュージアム」実現のワンステップとして想定されているので、これまでの活動を振り返り、あらためてデザインミュージアムについて考えようということらしい。それにしても広大で多岐にわたるデザインをどのようにミュージアムで見せていくのだろう。ファッション、プロダクト、グラフィックといった従来のジャンル別か、時代順か、それともいくつかキーワードを設けて展示するのか。いってみればデザインミュージアムをいかにデザインするかが、このミュージアムの核心になりそうだ。
2013/12/20(金)(村田真)
シェル美術賞展2013
会期:2013/12/11~2013/12/23
国立新美術館[東京都]
698人による1,001点の応募作品から、7点の受賞作品を含む52点の絵画を展示。併せてこれまでの受賞者のなかから4作家を選び、「シェル美術賞アーティスト・セレクション」として数点ずつ紹介している。入選したとはいえ、大半は技術的に未熟かどこかで見たことあるような絵ばかりだが、いくつか興味をそそる作品もあった。吉村正美《死角》はブロック塀を背景に、絡み合ったグラフィティのような線描から逃れる後頭部に顔のついた少年を描いたもの。と説明してもわからないだろうけど、そのわけのわからなさと稚拙な描写がうまく噛み合っている。田中駿《なにも聞こえない》は、まるでヨゼフ・ボイスの脂肪作品のような黄色い物体がへばりついた部屋のコーナーを描いたもの。ぶっきらぼうで謎めいた主題もいいが、アクリル板に油彩というちょっと変わった形式にも注目したい。山橋美穂《ポートレート》は、青い画面から大きな顔を浮かび上がらせ、上下に白色で文章を記したもの。タイトルに「セルフ」はついてないが、文章込みで一種の自画像と見ることができるかもしれない。「セレクション」のほうでは、ピンヒールやペディキュアを施した足を描いた松川朋奈のフォトリアリズム絵画が出色。タイトルも最大1200字ほどの告白文になっていて、これはもう絵がどうのこうのというより、足フェチ全開の別世界。
2013/12/20(金)(村田真)
石塚雅子 展
会期:2013/12/09~2013/12/14
a piece of space APS[東京都]
こちらではギャラリー・カメリアで展示中の小島、石塚、岩尾の3人が、それぞれ1週間ごとに個展を開いている。石塚の絵は靉光を思わせる深みのある背景に、花のような形態を描いたもの。ファンタジックな絵画ともいえるが、見ようによっては世界が炎に包まれていく終末の風景を感じさせないでもない。
2013/12/14(土)(村田真)
face to faceIII「小島敏男・石塚雅子・岩尾恵都子」
会期:2013/12/02~2013/12/21
ギャラリー・カメリア[東京都]
築80年を超す奥野ビル5階の2会場を使っての企画展。こちらでは小島敏男、石塚雅子、岩尾恵都子の3人展。石塚と岩尾はちょっと幻想的ともいえる絵画で、小島は木彫だが、おもしろいのはこの木彫が葉を茂らせた植物を彫ったものであること。といっても須田悦弘みたいに超絶技巧で極薄の葉を彫ったり彩色したりしてるわけではないが、モチーフが素材と同じ「朴」のように見えるのだ。つまりホオノキからホオノキを彫ってるわけだ。木から木を彫り出すという自己言及的行為。
2013/12/14(土)(村田真)
白石綾子 展
会期:2013/12/09~2013/12/14
ギャラリーQ[東京都]
円形キャンヴァスに下着姿の女性がうずくまってる姿を描く。シーツや下着だけでなく、女性の肌にもうっすらと花柄模様が浮かび上がっている。花柄模様の布地に描いているため透けて見えるからだが、これが刺青のようにも見え、うずくまるポーズともども暗さや不気味さを増している。やはりいまの時代はこういう暗い絵が似合う。
2013/12/14(土)(村田真)