artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
トーキョーワンダーウォール都庁2013 西村一成
会期:2013/11/07~2013/11/28
東京都庁第一本庁舎3階南側空中歩廊[東京都]
西村一成は人物も動物も風景も抽象もこだわりなく、ガンガン描いている。間違いなく「天然」のよさがあるんだけど、1日何枚も描き続けてると100パーセント天然じゃなく、作為が見られるようになる。いわばプロの「ヘタウマ」と化しつつある。天然の素人かプロのヘタウマか、うーんビミョーなところだ。
2013/11/20(水)(村田真)
ターナー展
会期:2013/10/08~2013/12/18
東京都美術館[東京都]
2度目の訪問。これだけの作品が来てるんだから何度でも行きたい。今回の発見は、多くの画面に太陽が描かれていること。なにをいまさらというなかれ、太陽はモネやゴッホの絵にも登場するけど、こんなに頻繁に描いた画家はほかにいないはず。太陽が描かれているということは、画面が全体に明るいと同時に、視界が逆光になるので陰影が多いということでもある。つまり光とともに闇も際立つのだ。ターナーの画面のまぶしさや明暗の極端な対比は、どうやらこの逆光に由来する。そう考えると、まぶたを切り取られて太陽光を直視しなければならなくなったレグルスの神話が、ターナーの画家としての生きざまと重なってくるではないか。
2013/11/15(金)(村田真)
假象の創造──カショウノソウゾウ
会期:2013/10/23~2013/11/24
文京区立森鴎外記念館[東京都]
倉林靖のディレクションで、赤崎みまと袴田京太朗が出品する現代美術展。なんで鴎外記念館で現代美術展なのかといえば、「鴎外の美術への関心を現在に結びつける試み」だそうだ。エントランス正面の壁に長さ2、3メートルほどある恐竜の化石のような異形の物体が飾られているが、これは数体のクマの木彫をスライスしてつなげた袴田の作品。知らない人が見たら驚くだろう。これを「鴎外が、自ら吸収した西洋思想によって日本文化を再構築しようとした姿勢が、まさにそのまま表されている」などとこじつけることもないだろうに。まあ公的施設だから現代美術を見せるにもなにかしら納得できる理由づけが必要なのかも。でもこういう場所だからこそ理由なき唐突な出会いがあってもいい。
2013/11/08(金)(村田真)
鴎外と画家 原田直次郎──文学と美術の交響
会期:2013/09/13~2013/11/24
文京区立森鴎外記念館[東京都]
上野から千駄木まで歩き、昨年リニューアルオープンした鴎外記念館を初めて訪れる。安藤忠雄を思わせるモダンな建築だが、外壁はレンガを張ってから削った職人仕事だという。原田直次郎は鴎外が留学先のミュンヘンで知り合い、親友になった画家。ふたりの交流を示す書簡や鴎外の小説の挿絵などを中心とする展示で、絵画は素描や水彩を含めて6点のみ。代表作の《靴屋の親爺》や、鴎外が擁護した《騎龍観音》などは画像で紹介されている。絵画の現物が少ないのは文学者の記念館だから仕方がないけど、でも書簡とか本とか見せられてもなあ。
2013/11/08(金)(村田真)
所蔵作品展「秋」・「日本の山」
会期:2013/11/07~2013/11/28
日展新会館[東京都]
バスハウスのすぐ近くに見慣れぬ白い建物が建っている。「日展新会館」と書いてあり、展覧会をやってるので入ってみる。昔だったら意地でも入らなかっただろうなあ。1階が「秋」、2階が「日本の山」を描いた日本画と洋画が計20点ほど並ぶ。なんの刺激もない、毒にも薬にもならない絵ばかり。どうせなら「原発」とか「憲法」とか「秘密保護」とか、国民に関心のある時事ネタをテーマにしてほしい。
2013/11/08(金)(村田真)