artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
森田浩彰「交換・・作/備/品」
会期:2012/12/14~2013/01/20
ナディッフギャラリー[東京都]
ベンチ、傘立てのカギ、エスカレーターの透明な仕切り板、小さな譜面台みたいな表示板などが置かれ、床に「MOT」印の紙やゴミが散乱している。森田は今年の「MOTアニュアル」にも参加しており、あちらの展示と呼応しているようだ。一種のリプレイスメントですね。ということはしかし「MOTアニュアル」を見てない人にはおもしろさが伝わりにくいし、ましてや「MOT」がなんのことか知らない人には単なるガラクタでしかない。ちょっとシャレた配置のガラクタ。
2013/01/16(水)(村田真)
草間彌生「新作絵画II」
会期:2012/12/08~2013/02/02
オオタファインアーツ[東京都]
一辺が人の背丈ほどある正方形のキャンバス6点。金銀の地に赤や水色でギザギザや水玉模様を描いてる。これもオプアートといえなくもないが、リヒターとは190度くらい違う。絵具がほとんど垂れてないので立て掛けずに水平に置いて描いたようだ。だとすると、おそらくこのサイズが四周から手が届く最大サイズなんだろう。これで4千万円前後というのは安いのか高いのか。
2013/01/16(水)(村田真)
ゲルハルト・リヒター「New Strip Paintings and 8 Glass Panels」
会期:2012/12/08~2013/01/26
ワコウ・ワークス・オブ・アート[東京都]
ペインティングとガラスの作品。ペインティングは横長が4点に正方形が2点。太さの異なる機械的な横線がランダムな色彩で引かれている。手描きではなくブレがないので、画面の30センチほど前まで近づくと視界がカラフルなストライプに覆われてしまい、めまいを起こしそう。じっと踏ん張って見ていてもわずかに頭は揺れるので、線がわずかに波打ったり、ストライプの幅が伸び縮みしたりする錯覚に陥る。そこまで計算に入れた作品。一種のオプアートですな。あらためてリヒターの「芸域」の広さにあきれるが、でも手描きじゃないからホメてやらない。ギャラリーの中央にはもう1点、微妙に角度を変えて並べた8枚のガラスが置かれている。このガラス越しに壁の絵を見ると、ストライプが屈折したり反射したりしてなかなかおもしろい効果を生み出す。これも計算ずくか。
2013/01/16(水)(村田真)
GARDENS
会期:2013/01/09~2013/01/20
神奈川県民ホールギャラリー[神奈川県]
伊藤誠、菊池敏直、松浦寿夫、吉川陽一郎という80年代前半にデビューした50代後半の画家と彫刻家によるグループ展。4人とも「80年代作家」だけあってだれにでもわかってもらおうとか、少しはみんなに合わせようなどというケチなサービス精神はなく、いまどきのチャラいアートとは一線を画す頼もしさが感じられた。なかでも存在感を示していたのが伊藤と吉川の彫刻で、とくに吉川の靴ぬぐいのような台形の作品がまるで床に置いた額縁絵画みたいで、どこかで使えるなと思った。本人によれば台座から発想したものらしいが。台座も額縁も似たようなもんだ。
2013/01/15(火)(村田真)
すくいとられたかたち FORMS IN FLUX
会期:2013/01/12~2013/05/06
「ドラマチック大陸」展の出品作品が少なめだと思ったら、残ったスペースでこんな企画展をやっていた。愛知県立芸大とボストン美術館付属スクールの教員6人による交流展。作品は絵画、彫刻、インスタレーション、映像と多彩だが、多彩なだけに焦点が結べず、真意がすくいとれなかった。
2013/01/12(土)(村田真)