artscapeレビュー
ゲルハルト・リヒター「New Strip Paintings and 8 Glass Panels」
2013年02月15日号
会期:2012/12/08~2013/01/26
ワコウ・ワークス・オブ・アート[東京都]
ペインティングとガラスの作品。ペインティングは横長が4点に正方形が2点。太さの異なる機械的な横線がランダムな色彩で引かれている。手描きではなくブレがないので、画面の30センチほど前まで近づくと視界がカラフルなストライプに覆われてしまい、めまいを起こしそう。じっと踏ん張って見ていてもわずかに頭は揺れるので、線がわずかに波打ったり、ストライプの幅が伸び縮みしたりする錯覚に陥る。そこまで計算に入れた作品。一種のオプアートですな。あらためてリヒターの「芸域」の広さにあきれるが、でも手描きじゃないからホメてやらない。ギャラリーの中央にはもう1点、微妙に角度を変えて並べた8枚のガラスが置かれている。このガラス越しに壁の絵を見ると、ストライプが屈折したり反射したりしてなかなかおもしろい効果を生み出す。これも計算ずくか。
2013/01/16(水)(村田真)