artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
六本木アートナイト2012
会期:2012/03/24~2012/03/25
六本木ヒルズ+東京ミッドタウン+国立新美術館など[東京都]
ウチの裏庭が騒がしいのでなにごとかと思って下界に下りてみたら、「六本木アートナイト」をやってるではないか。昨年は震災の影響で中止になったからな。ヒルズ方面では、歯車で回転するチェーンで「六」「本」「木」を表わしたタムラサトル、赤い靴やボタンの映像を地面に映し出した志村信裕、スクリーン上の迷路を見ながら目隠しした人を誘導するゲームの泉太郎らが出品。アリーナには赤い水玉模様の巨大な《ヤヨイちゃん》が鎮座している。いやそれにしてもスゴイ人出だな。ミッドタウンに行くと、芝生広場に提灯を並べ、中央にジャッピーを祀った祭壇が置いてある。もはやジャッピーは日本の神か。ガレリアには高さ10メートルを超すバルーン製の超巨大こけし《花子》がおっ立ってる。大きさでは《ヤヨイちゃん》に勝ったな。国立新美術館では開発好明が発泡スチロールで茶室を組み立てている。その開発と野田裕示が手がけたワークショップの成果を展示する納屋もあり、いい味出している。日没後、人通りの多い屋外で展示するという条件から、おのずと光りもの、鳴りもの、メガものばかりとなった。
2012/03/24(土)(村田真)
ホリー・ファレル「ブックショップ」
会期:2012/03/21~2012/04/14
メグミオギタギャラリー[東京都]
背表紙を向けた本を10冊(+両脇に数冊ずつ平積み)ほど、きっちりと描いている。絵ごとに古典文学、料理本、児童書などに分けられ、タイトルや出版社名まで読める。ゆるやかな正面性の美学。これほしいなあ……。
2012/03/23(金)(村田真)
入江早耶 展「デイリーハピネス」
会期:2012/03/02~2012/03/25
資生堂ギャラリー[東京都]
今年の「アートエッグ」第3弾。観音様の掛け軸の前に小さな観音像が置いてあるのでなんだろうと思ったら、掛け軸の観音様を消しゴムで消し、そのカスをこね上げて観音像をつくっているのだ。これはご苦労なこってすなあ。ほかの作品も同様のコンセプトに基づくが、資生堂のポストカードやファンデーションを使った作品が半分くらいあり、ちょっと宣伝臭がした。作家が望んだかどうか知らないけれど、いくら支援しているからといってここまで自社製品を使わせていいのかと気になった。
2012/03/23(金)(村田真)
東島毅「遮るものもないことについて──another」
会期:2012/03/15~2012/03/30
上野の森美術館ギャラリー[東京都]
こ、これはすごい、キャンバスがデカすぎてギャラリーに入らず、斜めに立ててある。もちろんそんなことはないだろうけど、でも本当にデカイの描きたいから描いてみたら入らなかった、としたら尊敬しちゃうけどな。
2012/03/23(金)(村田真)
VOCA展2012
会期:2012/03/15~2012/03/30
上野の森美術館[東京都]
今年はいつになくヴァリエーションに富んでいて楽しめた。桑久保徹や小村希史ら厚塗りのペインタリー系は絵画の醍醐味を堪能させてくれたし、奥村雄樹や前沢知子による子どものワークショップの成果をちゃっかり作品化した寄せ集め画は、アートの将来を考えさせてくれた。もっとも破壊的だったのは、麻生知子と武内明子によるワタリドリ計画だ。ワタリドリ計画とは、このふたりが日本各地を旅して2人展を開いていくというプロジェクトで、今回出品されたのは、その旅の過程で生み出された「ワタリドリ通信」と132枚の「手彩色絵はがき」。つまり出品されたのはプロジェクトの副産物ともいうべきものであって、作品そのものではない。むしろプレゼンテーションの場というべきか。このテの「作品」が増えていくと「VOCA展」も変わらざるをえなくなるだろう。
2012/03/23(金)(村田真)