artscapeレビュー
VOCA展2012
2012年04月15日号
会期:2012/03/15~2012/03/30
上野の森美術館[東京都]
今年はいつになくヴァリエーションに富んでいて楽しめた。桑久保徹や小村希史ら厚塗りのペインタリー系は絵画の醍醐味を堪能させてくれたし、奥村雄樹や前沢知子による子どものワークショップの成果をちゃっかり作品化した寄せ集め画は、アートの将来を考えさせてくれた。もっとも破壊的だったのは、麻生知子と武内明子によるワタリドリ計画だ。ワタリドリ計画とは、このふたりが日本各地を旅して2人展を開いていくというプロジェクトで、今回出品されたのは、その旅の過程で生み出された「ワタリドリ通信」と132枚の「手彩色絵はがき」。つまり出品されたのはプロジェクトの副産物ともいうべきものであって、作品そのものではない。むしろプレゼンテーションの場というべきか。このテの「作品」が増えていくと「VOCA展」も変わらざるをえなくなるだろう。
2012/03/23(金)(村田真)
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