artscapeレビュー
カポディモンテ美術館 展
2010年07月15日号
会期:2010/06/26~2010/09/26
国立西洋美術館[東京都]
ナポリの美術館から工芸や素描も含めて約80点の出品。パルミジャニーノ、ブロンズィーノらの不穏な肖像画、ラ・トゥール的光を描いたナポリ時代のエル・グレコ、イエスさまがVサインをしながら飛び跳ねてるヴァザーリの《キリストの復活》など、注目すべき絵画は少なくないが、1点選ぶとすれば、アルテミジア・ジェンティレスキの《ユディトとホロフェルネス》をあげたい。寡婦のユディトが敵将ホロフェルネスの寝首を掻くという艶かしくもおぞましい絵。アルテミジアの素性を知るとなお真に迫る。ちなみに別の画家による同主題の作品がもう1点、また、乳房を切られた聖アガタを主題とする絵も2点あり、血なまぐさいことこのうえない。絵画以外では、サイの角を彫った杯、貴石をあしらった小箱、象牙による小さな彫像など、カポディモンテ美術館の基礎を築いたファルネーゼ家のヴンダーカマー(イタリアでは「ストゥディオーロ」と呼ばれた)を飾ったであろう珍奇な工芸品も一見の価値あり。
2010/06/25(金)(村田真)