artscapeレビュー

マネとモダン・パリ

2010年05月15日号

会期:2010/04/06~2010/07/25

三菱一号館美術館[東京都]

丸の内のビジネス街に現われたレンガづくりの建物が三菱一号館美術館。もともと三菱一号館は、19世紀末にジョサイア・コンドルの設計でこの地に建てられたビルの名。1968年に解体されたが、約40年後に復元され、美術館として生まれ変わったというわけ。その開館記念展として開かれているのが「マネとモダン・パリ」だ。マネといっても《草上の昼食》も《オランピア》も来てない。でも《ローラ・ド・ヴァランス》《エミール・ゾラ》《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》は来てる。ま、日本で望める最高レベルのマネ展というべきだろう。作品より気になるのが展示空間。レンガづくりの外観ばかりか内部まで昔どおりに復元し、美術館として設計変更してないため、比較的小さな部屋がいくつもあって迷路のようだ。いちばん首をかしげるのは、せっかくリッパな格子天井を再現したのに照明器具で隠れたり、使えないかたちだけの暖炉が各部屋ごとに復元されたりしていること。そりゃまあ雰囲気は出るけど、なんかディズニーランドみたいなウソっぽさが感じられないか。それなら最初から壊さなければよかったのに。

2010/04/05(月)(村田真)

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