artscapeレビュー
KOMAZAWA MUSEUM X ART
2009年10月15日号
会期:2009/09/12~2009/09/27
駒沢公園ハウジングギャラリー[東京都]
最近の流行なのか、住宅展示場のモデルハウスを会場にした展覧会。昨年の六本木での「ザ・ハウス」は、取り壊し前のモデルハウスが会場だったので好き勝手なことやっていたし、横浜の「アート&ホームコレクション」は、横浜美術館が監修したアートフェアだったのでにぎわっていたが、今回の展示はいちばん量があるのにショボイ。作品を見に来た人は受付でバッジをもらうのだが、連休のせいか「家」を見に来た人のほうが圧倒的に多く、各モデルハウスを訪ねるたびに常駐の営業マンから「ああ、アートね」と相手にしてもらえず、いや相手にしてくれなくていいのだが、しかしほかの客のジャマにならないようにコソコソといじけて見なければならない空気なのだ。そもそも作品は小さな絵画がほとんどで、空間を使ったインスタレーションは皆無。しかも絵は壁にかかっていればいいほうで、多くは棚や床に立てかけてあるだけ。作品自体があまり存在を主張できず、「家」を汚さないように卑屈に身がまえているようでツライ。そんななかで唯一場所と結託し空気を変えることができたのが、泉イネの作品群だ。ちゃっかり他人の家に上がり込んで100年住んでますみたいな顔してる。単体としてもインスタレーションとしてもすぐれた作品だ。
2009/09/22(火)(村田真)