artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

全国設計行脚

会期:2014/11/16

東北大学青葉山キャンパス人間・環境系教育研究棟[宮城県]

日本各地の学部3年生が1年かけて2025年の建築を設計する課題にとりくむ、全国設計行脚の企画に講師として参加した。メンバーは大阪、広島、東京をめぐり、今回は東北大学を訪問し、小学校、ホスピス、ポスト百貨店、築地市場の再開発など、それぞれのエスキスとレクチャーを行う。5分の発表に対し、15分のエスキスを13セットである。こちらは1人で全部対応するので大変だった。来年3月に設計を終了し、展覧会を開くという。

2014/11/16(日)(五十嵐太郎)

《起雲閣》、「高須英輔展 ─ 輾てん轉 ─ in 起雲閣」

会期:2014/10/03~2014/11/25

起雲閣[静岡県]

熱海の《起雲閣》(1919)も、かつての豪邸であり、後に旅館に転用され、文学者に愛された。したがって、それぞれの文豪の展示が各部屋でなされている。とくに「玉姫」「玉渓」の部屋(1932)は、ステンドグラスも動員する、和洋亜の折衷ぶりが凄まじい。日向邸も、ある意味ではタウトというフィルターを媒介した折衷の建築だが、こちらはベタな併用で、一般の観光客にもわかりやすい。ちなみに、全然ローマ的ではないと思うが、「ローマ風浴室」も興味深い。増築部分では、ちょうど高須英輔展「輾てん轉」を開催しており、古材を再活用した構成の作品群が並ぶ。


起雲閣

記事左上:ローマ風浴室

その後、熱海銀座、中央町、清水町のあたりを散策する。今年、3月に混流温泉文化祭で訪れた際にもまわったが、昭和の建物が多く残っていたり、坂の地形と壁が隣接する小建築群がかもしだす風景は独特の雰囲気をもつ。いまは単に古いと思われるかもしれないが、今後残れば、貴重になるはずだ。

熱海

2014/11/15(土)(五十嵐太郎)

水/ガラス

[静岡県]

前回、日向邸の隣にある隈研吾による《水/ガラス》(1995)は堅く門を閉じ、外からしか眺めることができなかったが、現在は用途が変更し、宿泊に使えるようになり、エントラスの内側くらいまで入ることができた。が、それでは海に溶け込むあの有名なシーンは見えない。

2014/11/15(土)(五十嵐太郎)

重要文化財ブルーノ・タウト《熱海の家(旧日向別邸)》特別公開

会期:2014/11/15

[静岡県]

熱海で、ブルーノ・タウトによる《日向邸》(1936)を見学した。二度目の訪問だったが、今回は詳しい案内付きで、かなりじっくり時間をかけて鑑賞することができた。与えられた躯体の地下空間のリノベーションであり、インテリアの仕事なのだが、アプローチに始まって、その空間を大胆に変えている。設計の際、どれだけタウトが体験した日本の空間と、彼の好みをつぎ込むかなど、細部の情報量が多く、いろいろ考えさせられる建築である。

2014/11/15(土)(五十嵐太郎)

神様の言うとおり

いきなりのダルマからコケシまでは、わりと原作に近いで進行するが、その後に展開するゲームの性格がだいぶ違う。どうせ三池崇史で残酷描写をやるなら、『悪の教典』くらいにぶっ飛んで欲しいのだが、後半は妙にヒューマンな心理戦になってしまう。また伏線も回収せず、不満である。こうした形式の漫画の実写映画版は難しいのだろうか。

2014/11/15(土)(五十嵐太郎)