artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

オープン・スペース2014

会期:2014/06/21~2015/03/08

NTTインターコミュニケーション・センター[ICC][東京都]

evala+鈴木昭男の音響を体験したが、闇の中で音が身体に侵入するような感覚だった。実際、音は視覚と違い、遠くからこちらを触ったり、ときには殴ることもできる空気の振動だ。小沢裕子の《無名の役者たち》は、ウェブ上の他者の楽曲などに対し、勝手にPVのような映像をつける試みである。

2014/11/14(金)(五十嵐太郎)

ザハ・ハディド

会期:2014/10/18~2014/12/23

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

以前、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で見た「ザハ・ハディド」展(床がスロープだから、ドローイングも斜めに壁がけしていた)と同様、空間全体を使うインスタレーションは興味深い。また初期のアンビルド時代における建築を表象する方法のバリエーションが豊かなことに才能を感じる。ただし、コンピュータを設計に使うようになってから、こうした部分がなくなり、作品の巨大な彫刻化に向かう。

2014/11/14(金)(五十嵐太郎)

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ジョルジョ・デ・キリコ ─ 変遷と回帰 ─

会期:2014/10/25~2014/12/26

パナソニック汐留ミュージアム[東京都]

初期の作品はあまりなかったが、素描や彫刻など、知らないタイプの作品も紹介しつつ、後期の自己模倣系が多い。いわばセルフカバーである。アーティストに求められる新しさの神話を拒否する後期の試みは、アンディ・ウォーホルも評価したように、なるほど興味深い。ただし、絵自体のクオリティは必ずしも良くなっていないのが、少し残念だった。

2014/11/14(金)(五十嵐太郎)

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フェスティバル/トーキョー14 「春の祭典」

会期:2014/11/12~2014/11/16

東京芸術劇場プレイハウス[東京都]

毛利悠子の舞台美術を見たくて足を運んだが、電信柱や、ささやかに動く小物を配したこれが、やはり一番良い。舞踏は、ストラヴィンスキーの楽曲を、日本の祭りとして再構築する実験的な試みだった。論理的にはアリの手法だと思うが、実際に和風化された実演を見ると、違和感も拭えない。

2014/11/14(金)(五十嵐太郎)

ウチミチニワマチ

[東京都]

神楽坂にて、増田住吾+大坪克亘の《ウチミチニワマチ》(2009)を訪れた。住宅の閉じたブロック塀を屈曲するエキスパンドメタルに変えたものだが、躯体の窓と同様、いわば既存家屋に対する一種のリノベーションであり、塀という特殊な部分だけをデザインし、建築を拡張しつつ、内部と外部の境界を懐のある空間として再定義する。

2014/11/10(月)(五十嵐太郎)