artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

インターステラー

『インターステラー』(クリストファー・ノーラン監督)は凄かった。超越と進化では『2001年宇宙の旅』、父娘の関係では『コンタクト』に続く傑作である。宇宙の描写や砂塵が吹き荒れる風景は、大画面で鑑賞しないと意味がないという意味において映画的な作品だ。社会背景の説明を削ぎ、ハードなSF映画としてのヴィジュアル表現も挑戦的だし、ドラマとしても申し分ない。なるほど、空間と時間の歪みや高次元の構造などは、クリストファー・ノーランが以前から手がけていたテーマである。ほかにも種の存続、ブラックホールの彼方など、見所が多い。

2014/11/23(日)(五十嵐太郎)

東北大学工学部講義「建築設計CI」 最終講評会

会期:2014/11/22

東北大学青葉山キャンパス人間・環境系教育研究棟[宮城県]

3年生の設計課題「金沢21世紀美術館補完計画」が終了した。開館後、想定をはるかに上回る来場者を迎える施設をサポートする機能を提案するもの。完全な形態の円を使う傑作に対し、どのような態度をとるか、既存の文脈をどう読み、それにどうデザインで応答するかが鍵である。今回はとくに、幾何学をベースとした建築的な形態をつくるブラジルからの留学生二名と、建築を消去しようとする日本人の違いも興味深かった。

2014/11/22(土)(五十嵐太郎)

イコライザー

映画『イコライザー』(アントワン・フークワ監督)を見る。前半はついに娼婦役をするようになったクロエ・モレッツを、昼はホームセンター勤務、夜はダイナーで読書の日々を過ごすデンゼル・ワシントンが救う『タクシードライバー』的な雰囲気だ。しかし、後半は一転して、正義の世直し・必殺仕事人として暴れまくり、刺客を送り込むロシア・マフィアと全面対決する。主人公があまりに強過ぎて笑えるレベルだ。とくにホームセンターを舞台とした最終決戦では、主人公は銃器を使わず、まさにDIY的にあらゆるものを武器に使う。

2014/11/22(土)(五十嵐太郎)

住吉台の家

[宮城県]

研究室の博士課程でもある宇都宮の建築家、星裕之が仙台で手がけた《住吉台の家》(2014)を見学する。場所は新興住宅地の角地であり、隣は公園だが、賑やかすぎるために、まわりの視線を避け、外に対して閉じる。が、内部に入ると、上部の窓から四方の空がよく見え明るく、開放的な構成だ。キッチンからデッキの中庭まで、段々にレベルを上げつつ、ゆるやかに各個室と接続する。施主は室内で犬を飼っていると聞き、空間の見え方も変わった。

2014/11/20(木)(五十嵐太郎)

ドラキュラZERO

映画『ドラキュラZERO』(ゲイリー・ショア監督)を見る。タイトル通り、ドラキュラの始まりの物語だ。想像以上に面白かった。オスマン帝国から攻撃される15世紀のトランシルバニアを舞台とし、ドラキュラのパワーを超人的なものと位置づけ、神に許されない、自らも滅ぼしかねない破壊的な人間最終兵器として活用したこと。人間からドラキュラになるまでの3日という猶予/移行期間を設けたこと。この2点の設定が、巧みに英雄/悲劇譚に導く。

2014/11/19(水)(五十嵐太郎)