artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
生誕200年 ミレー展 ─ 愛しきものたちへのまなざし ─
会期:2014/11/01~2014/12/14
宮城県美術館[宮城県]
名古屋ボストン美術館で開催されたミレー展が、彼とバルビゾン派の状況をあわせて紹介したのに対し、これは彼個人の作品の軌跡をたどる。古典、ロココ風、ベラスケス、オランダ絵画など、途中彼がさまざまな影響を受けながら、農民画の作風を確立したことがわかり、興味深い。あまり知られていない、ミレーが描いた肖像画も多く紹介していたのも収穫だった。
2014/11/05(水)(五十嵐太郎)
特別展 ガウディ×井上雄彦 ─ シンクロする創造の源泉 ─
会期:2014/10/04~2014/11/05
金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA[石川県]
金沢21世紀美術館では、「特別展 ガウディ×井上雄彦 ─ シンクロする創造の源泉 ─」の巡回も開催中であり、ちょうど建築展がトリプルで重なっている希有な状態だった。その内容は思っていた以上に、漫画家の井上パートを控えめにしており、むしろアントニオ・ガウディの卒計から基本作、そしてサグラダ・ファミリア教会の建設の現状までを模型やドローイングなどで紹介する、入門編的な内容だった。
2014/11/02(日)(五十嵐太郎)
五十嵐太郎×山崎亮×小野田泰明 鼎談「3.11以後の建築」
会期:2014/11/02
金沢21世紀美術館[石川県]
「3.11以後の建築」展のトーク・イベントを行う。まずゲストキュレーターの五十嵐×山崎亨からは展覧会の意図と概要、続いて計画学の小野田泰明からは被災地の複雑な現状と展望について語る。3名とも、3.11の災害を過度な断絶と捉えず、2011年以前から地方で進行していた傾向の明快な可視化が起きたとみなす。トークに東北の被災地の復興計画に現場で関わる人間が参加したことで、今回の展示を補強する内容となった。
2014/11/02(日)(五十嵐太郎)
ジャパン・アーキテクツ 1945-2010
会期:2014/11/01~2015/03/15
金沢21世紀美術館[石川県]
「ジャパン・アーキテクツ1945─2010」は、金沢21世紀美術館の開館以来初の博物館型の展示であり、膨大な近現代建築の図面や模型を並べる。ポンピドゥー美術館のフレデリック・ミゲルーのキュレーションによって、時代の変化を色で示す。敗戦後の破壊「黒」から始まり、モダニズムの「灰」を経て、万博、メタボリズムと近代への疑義を提示するカラーとノン・カラーの部屋。そして最後は非物質的な空間となる「白」という流れだ。ミゲルーの講演会で示されたデータをみると、今回の展覧会は2010年までを扱うが、企画立案から実現までが長かったせいだろうが、当初、1945年から2005年までで時代を区切った企画だったことがうかがえる。
2014/11/01(土)(五十嵐太郎)
3.11以後の建築
会期:2014/11/01~2015/05/10
金沢21世紀美術館[石川県]
休日の金沢21世紀美術館を体験したが、その混みようは半端ない。もちろん、兼六園の斜め前という絶好のロケーションもあるが、そのポテンシャルを最大限以上に引き出したSANAAの開放的な空間の成果だろう。この同じ敷地に筆者が以前通っていた中学校が存在していたが、美術館に変えて正解だと思う。チケット売り場は長蛇の行列ができており、展示物の模型が破損しそうな勢いで、次々と人が入る。家族連れが少なくない。しかも、明らかに建築展を目的に訪れた人ではなく、金沢21世紀美術館に立ち寄ったついでに展覧会を見ている。パリのポンピドゥーやNYのMoMAも普段美術展を見ない人が入場するわけだが、日本でもそれが起きている。
2014/11/01(土)(五十嵐太郎)