artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ジャパン・アーキテクツ 3.11以後の建築
会期:2014/11/01~2015/05/10
金沢21世紀美術館[石川県]
金沢21世紀美術館での11月1日スタートの「3.11以後の建築」展の設営現場は、おおむね終了していた。学芸出版社から刊行する同名のカタログ的扱いの書籍も完成する。最後に到着した坂茂のスタッフと、避難所における簡易間仕切りのシステムを、アシスタント・キュレーターらと一緒に組み立てる。実際にやってみると、想像していた以上に、簡単にかつ素早くできることがよくわかる。なるほど、合理的なシステムだ。
2014/10/31(金)(五十嵐太郎)
美術する身体 ピカソ、マティス、ウォーホル
会期:2014/09/20~2014/11/30
名古屋ボストン美術館[愛知県]
戦後のアメリカといえば、抽象絵画の興隆が想起されるが、ここでは具象絵画をとりあげ、人を描いた作品や版画に焦点をあてる。幾つかの版画の制作プロセスもていねいに展示しており、勉強になった。名前を失念したが、モノタイプの手法でさっと女性を描いた白黒の作品がとくに印象に残った。
2014/10/29(水)(五十嵐太郎)
あいちトリエンナーレ2016有識者部会、あいちトリエンナーレ実行委員会運営会議
会期:2014/10/29
愛知芸術文化センター[愛知県]
あいちトリエンナーレ2016の有識者部会と実行委員会の運営会議に出席した。港千尋芸術監督が、テーマ「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅/Home Faber : A Rainbow Caravan」とコンセプト、また人類が最初に使ったであろう土の黄色を用いたメインヴィジュアルを説明する。「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」は、一定の方向性を示しつつ、展覧会を構成しやすいテーマだと思う。空間/時間的にもっとも遠い宇宙への探査機と先史時代の洞窟に触れて、創造する人類の旅のイメージを打ちだしながら、芸術祭そのものをキャラヴァンサライ(旅の家)と定義する。また「虹」という比喩は、自然と人間、知性と感性のあいだをつなぐ諧調であり、また本来は同根のアルスだった芸術と技術を架橋するものだろう。そしてオペラやパフォーマンスも含むあいちトリエンナーレの特徴である多分野について、諸ジャンルが分化する以前の原初へとたち戻ろうとする試みになっている。
2014/10/29(水)(五十嵐太郎)
レッド・ファミリー
映画『レッド・ファミリー』を見る。韓国/北朝鮮の政治状況でしか成立しえない、家族と国家がむきだしにせめぎあう戯画的な設定を決めた時点で、半分成功。そこにキム・ギドクのピエタにも通じる自己犠牲が重なり、クライマックスでの度肝を抜く演劇的反復を通じて、「家族」が完成する。お見事だ。
2014/10/26(日)(五十嵐太郎)
自由が丘で
ホン・サンス監督『自由が丘で』を見る。加瀬亮が思いをよせる韓国人女性と再会するために、ソウルで過ごす日々。カフェ「自由が丘」、ゲストハウス、路地と坂道などの限定された場所で、反復する会話や人の配置。出来事を伝える手紙がばらばらになったために、時間がシャッフルし、様々な効果を生む。
2014/10/26(日)(五十嵐太郎)