artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

いのちのちQII

会期:2013/11/29~2013/12/01

アサヒ・アートスクエア[東京都]

F/T13の公募プログラムで、「いのちのちQII」を観劇。ドッグ・ブリーダーと回転寿司バーを組み合わせ、犬や人間の血統、近親相姦、異種交配をテーマにしたもの。ジョセフィーヌ役の演技と声がパワフルなこと! さらりと語られる下品な言葉や天皇ネタなど、ドキリとさせる展開だが、空間性のある舞台美術もよかった。

2013/11/30(土)(五十嵐太郎)

《旧井上房一郎邸》

[群馬県]

高崎市美術館にある、アントニン・レーモンドの自邸兼事務所を写し、彼のスタイルをとり入れた《旧井上房一郎邸》(1952)は素晴らしい。シンプルな構成で、半世紀を経てもなお瑞々しく、モダニズムと日本の木造建築の開放感を見事に融合している。ちなみに、この住宅は、別の方法によって和洋折衷を行なう中原淳一が精力的に活動したのと同時代だ。

2013/11/28(木)(五十嵐太郎)

生誕100周年記念 中原淳一 展

会期:2013/11/09~2014/01/26

高崎市美術館[群馬県]

高崎市美術館の中原淳一展を見る。単に一世を風靡した少女趣味のイラストレータだと思っていたら、実は編集者であり、人形作家であり、ファッションからインテリアまで女性の生活へのさまざまな提言を行なっていた人物だったと知る。戦後すぐの友人を招く少女のための三畳の室内のしつらえなども興味深い。

2013/11/28(木)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00023713.json s 10094362

水谷俊博+水谷玲子/水谷俊博建築設計事務所《アーツ前橋》

[群馬県前橋市]

竣工:2012年10月(開館:2013年10月)

アーツ前橋は、駅から歩いて行ける本当にまちなか美術館である。水谷俊博+玲子の設計により、百貨店をリノベーションしたもの。外観はアルミパンチングで包み、エスカレータを除去し、展示室に吹抜けを設けるほか、階段、スロープ、部屋同士を浸透させる小窓群で、地下も歩く楽しみと開放感を演出している。ちなみに、Perfumeの新曲PV「Sweet Refrain」はアーツ前橋で撮影されているが、外観などのわかりやすい部分ではなく、地階の展示室エリアを使っており、ちょっとすぐにはわかりにくい。

2013/11/28(木)(五十嵐太郎)

生誕100年記念 ロベール・ドアノー写真展

会期:2013/11/22~2014/01/26

秋田市立千秋美術館[秋田県]

アトリオン内の秋田市立千秋美術館のロベール・ドアノー写真展へ。ドイツ占領時のパリのレジスタンスの活動を撮影した写真は歴史的にも貴重だ。基本的には何気ないパリの日常的な風景(人と街)だが、誰かが何かを見ている状態をとらえた写真が幾つかあって興味深い。カラー写真も初公開されていた。千秋美術館には、岡田謙三1950'sも同時開催しており、彼がニューヨークに渡って、当時流行っていた抽象表現主義の影響を受け、作風を変えた頃の作品を紹介する。ただ、やはり日本的な色使いを感じた。

2013/11/27(水)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00024060.json s 10094359