artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

1925 QUAND L’ART DECO S’EDUIT LE MODE(1925年、アールデコが世界を魅了した時)

会期:2013/10/16~2014/02/17

国立建築遺産博物館[フランス・パリ]

建築博物館のアール・デコの企画展を見る。各ジャンルから見るアール・デコへの芽生え、1925年の万博、そして日本や中国も含む、各国への伝播とビルディングタイプ別に影響を検証したもの。アール・デコの摩天楼で知られるアメリカのニューヨークの扱いは、わずかなのが興味深い。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

ケ・ブランリ美術館

[フランス・パリ]

ケブランリを再訪した。これは基本的にジャン・ヌーヴェルの集大成のような建築である。変化が大きい南面は、傾きを変えられるルーバーと、ガラスのドットの組み合わせで光をコントロールし、安定した北面は、風景をプリントしたガラスと突起した箱型展示空間だ。光と色の独特のセンスが光る。大量のドットを反復するアボリジニの絵画を見ると、草間彌生を思い出す。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

シテ・ドゥ・ラ・モード・エ・デュ・デザイン

[フランス・パリ]

セーヌ川沿いの倉庫を改造したシテ・ド・ラ・モード・エ・デザインへ。古くなったコンクリートの躯体に、デジタルデザイン風による、緑がかったぐにゃぐにゃの寄生構築物を付加していた。PIXARに関する展覧会のせいか、子どもたちを中心とした長い行列で入るのをあきらめたが、外回りを見るかぎり、写真で想像したような刺激的な空間体験はなかった。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

ルーヴル美術館 イスラム美術展示室

[フランス・パリ]

ルーヴル美術館に訪れるのは、十数年ぶりだろうか。マリオ・ベッリーニとルディ・リッチオッティが設計し、新しい空間が生まれたイスラムの展示エリアを見るために足を運んだ。中庭に挿入されたやわらかな皮膜としての屋根である。ルーヴルは、イスラムやアフリカなど、絵画以外の展示デザインが素晴らしく、ほとんどインスタレーションのレベルになっていることに感心した。

2013/12/26(木)(五十嵐太郎)

フクシマへ門を開く─福島第一原発観光地化計画展2013

会期:2013/12/24~2013/12/28

第1会場ゲンロンカフェ、第2会場ゲンロンオフィス[東京都]

福島第一原発観光地化計画展2013を見るために、初めてゲンロンカフェを訪れた。五反田らしい雑居ビルの屋内で、世界地図の中で福島への軸線を示す床の上にふくしまゲートヴィレッジの模型、梅沢和木によるツナミの塔とその前身となる作品アキハバラ3000、新津保の写真など、所狭しと作品が並ぶ。思想が核となり、美術、建築、映像、写真の分野を横断する展。詩人がテクノロジーに可能性を見出す未来派宣言を行ない、絵画、彫刻、音楽、建築などが未来派を展開したことを思い出す。言葉と美術が前のめりのアヴァンギャルドに対し、建築は少しクラシックな軸線を入れるのも、サンテリア的か。いったん外へ出た、第2会場のゲンロンオフィスでは、ゲートヴィレッジを、窓から見下ろすホテルの一室に見立て、原発麻雀化計画の卓と梅沢の絵を置く。梅沢の絵は、写真で見るより、実物の方がテクスチャーが感じられて好印象だった。藤村龍至のふくしまゲートヴィレッジは、メンバーのアイデアを集合させながら、再編成したもので、丹下・メタボリズム的なアーバニズムと、現代のショッピングモール的商業・観光を融合している。中国ならすぐにできそう。また事故博物館の造形は、神社を下敷きとし、棟の千木と鰹木を超線形プロセスで設計していた。

2013/12/24(火)(五十嵐太郎)