artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
安藤忠雄《秋田県立美術館》
安藤忠雄が設計した秋田県立美術館へ。お堀沿いの旧美術館と道路を挟んで向かいに建ち、三角形を基本モチーフとする。ほとんど開口のない正面から入ると、カーンを想起させる静謐な幾何学的空間が出迎える。2階に上ると、千秋公園を望む水庭が出現し、展示室に入ると、目の前に藤田嗣治の巨大絵画がどーんと広がる。
美術館では、平野政吉コレクションをベースに、主にパリではない時代の(マドレーヌと行動を共にした)藤田嗣治の作品を紹介し、1930年代に旅したブラジル、中国、そして秋田が題材になっていた。1階ロビーでは、藤田嗣治が描いた花と鳥、彼がパリで描いた壁画「花鳥図」の再現を展示している。
2013/11/27(水)(五十嵐太郎)
フェスティバル/トーキョー13 F/T13イェリネク連続上演 光のない。(プロローグ?)
会期:2013/11/21~2013/11/24
東京芸術劇場シアターイースト[東京都]
F/T13の小沢剛が演出した「光のない。(プロローグ?)」は、展覧会、インスタレーション、映像、音楽、演劇などのジャンル分けが揺らぐ体験だった。テキストがさまざまな媒体に刻まれ、ついに言葉を介しない奴が現われる。有名なSF映画も想起させながら。追い立てられる羊のように観客は動き、劇場がいつもと違う場に変容していた。
2013/11/24(日)(五十嵐太郎)
黄金町バザール2013
会期:2013/09/14~2013/11/24
京急線「日ノ出駅」から「黄金町駅」間の高架下スタジオ、既存の店舗、屋外他[神奈川県]
黄金町バザール2013へ。建築では、宮晶子による京浜急行電鉄黄金町高架下新スタジオ Site-B、ワークステーションによるSite-C 工房などを見学した。いずれも高架下という面白い敷地をデザインの与件にうまく組み込んでいる。インテリアでは、吉村靖孝のレッドライト・ヨコハマもようやく見ることができた。黄金町のあちこちに現代アートが展開していたが、特に鎌田友介の家に絡んでいく建具インスタレーションがよかった。
写真(上から):鎌田友介《D.frame.window》、吉村靖孝《レッドライト・ヨコハマ》、宮晶子《黄金町高架下新スタジオ Site-B》
2013/11/24(日)(五十嵐太郎)
《那覇市新庁舎》《小禄南公民館・図書館》《浦添大公園・管理事務所》
[沖縄県]
沖縄で幾つかの建築をまわる。首里城付近では、新しい赤瓦のまちなみが増殖している。新しく登場した那覇市新庁舎は、今後、全体のフレームが緑に覆われていくだろう。県庁舎の展望台では、過去の庁舎の歴史が展示されていた。階段状のヴォリュームで四方から、真ん中の広場を囲む小禄南公民館・図書館が、個性あるよい建築だった。またファイブ・ディメンジョンが手がけた浦添大公園南エントランスの管理事務所は、赤瓦を使いながら、幾何学的な操作をメインとし、屋根も多面体の一部のようである。上からみると屋根が、第五のファサードとしてよく見える。赤瓦絶賛でもなく、反赤瓦でもなく、ジャンル映画のように、赤瓦を使いながら、新機軸のデザインを展開しているところが興味深い。
写真(上から):那覇市新庁舎、小禄南公民館・図書館、浦添大公園・管理事務所
2013/11/20(水)(五十嵐太郎)
フェスティバル/トーキョー13 東京ヘテロトピア
会期:2013/11/09~2013/12/08
[東京都]
高山明の東京ヘテロトピアは、携帯ラジオをもって、都内のアジアと所縁のある地をめぐって、そこで音声を聴くツアー形式の作品である。全部のスポットをまわるのは難しいが、池袋と朝鮮独立運動、新大久保とネパール人のコミュニティを訪れた。確かに、その場で語りを聴くことで、都市の見え方が変わる。
2013/11/17(日)(五十嵐太郎)