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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

ARCHI & BD - LA VILLE DESSIN E

会期:2010/06/09~2011/01/02

建築・文化財博物館[パリ]

「ARCHI & BD」、すなわちケンチクと漫画である。時代の流れに沿って、漫画における建築表現とマンガ的な建築表現を平行しながら展示していた。前者に関しては、およそ100年に及ぶ、ヨーロッパの漫画の歴史、漫画によく登場したブリュッセル万博のパヴィリオン、アメコミ、そしてラストは日本や中国の漫画などを紹介する。一方、後者は、おそらく建築のプレゼンテーションに初めて漫画を用いたアーキグラムのほか、サイトのSF的なドローイング、OMAやチュミの映像作品、漫画をルイジアナ美術館の展示に活用したジャン・ヌーヴェル、ポルザンパルクによる漫画の博物館などの事例だ。是非、日本にも巡回して欲しい展覧会である。また近年は日本の公立美術館でも、漫画やアニメーションを取り上げることは、さほど珍しくなくなったから、独自にこうした企画を実現したらよいのではないかと思う。

2010/12/30(木)(五十嵐太郎)

孤高の画家 長谷川潾二郎展

会期:2010/10/23~2011/12/23

宮城県美術館[宮城県]

探偵小説家の一面もあった画家の回顧展。晩年の静物画を凝視すると、食器に外からの光があたり、窓や作家自身の姿がリフレクションし、映り込む。外界の鏡としての静物は興味深い。普通のモノを並べているだけなのに、シュールな雰囲気を漂わす静物画のコンポジションは、砂丘という異なる背景とはいえ、どことなく植田正治の写真も思い出される。眠り猫の絵描きということで、一般から眠り猫の写真も募集し、展示する関連企画によって、巡回展ながらも、宮城県美術館ならではの演出を試みていた。

2010/12/23(木)(五十嵐太郎)

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せんだいスクール・オブ・デザイン 第2回ハウスレクチャー 講師:池田修

会期:2010/12/21

阿部仁史アトリエ[宮城県]

せんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)のインタラクティブ・レクチャのシリーズにて、池田修をゲストに迎え、PHスタジオのきちんとしたゲリラ活動と、BankART1929における社会と都市を巻き込む広域な活動について語ってもらった。改めて、彼がキャリアの最初期に、川俣正、北川フラム、原広司と会っていることが、その後の活動に大きな影響をもたらしたことがわかり、興味深い内容だった。考えてみると、SSDのメディア軸のスタジオでやっている五十嵐+磯コンビは、もともとBankARTスクールから始まったものである。2010年11月にスタートした東北大と仙台市が提携する教育プログラムのSSDも、横浜とBankARTの関係と実績がひとつの理想形になるだろう。

2010/12/21(火)(五十嵐太郎)

シンポジウム「次世代の表現と可能性 4/新しい時代の感性はどのような空間をもたらすのか」

会期:2010/12/17

建築会館ホール[東京都]

これは日本建築学会の関東支部が開催する連続シリーズのシンポジウムであり、筆者が企画と司会をつとめるようになってからは三度目となる。今回は、中村竜治、山崎泰寛、大西麻貴らがプレゼンテーションを行なう。20代後半の大西が参加し、これまでで最年少の布陣となった。中村も、単体としての建築作品はいまだ実現していない。中村と大西は、ともに繊細な感受性をもちながら、同時に強いかたちと形式への意志を貫く。もうすぐ東京で完成するという大西の初の住宅、二重螺旋の家が楽しみである。

2010/12/17(金)(五十嵐太郎)

幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷 展

会期:2010/12/02~2011/02/19

INAXギャラリー1[東京都]

幕末の探検家、松浦武四郎の活動を紹介する展覧会。正直言って、まったく知らない人物だったが、北海道を歩き、地図を作成し、一種の観光ガイドまで作成するなど、既成の枠組に囚われない仕事ぶりがおもしろい。とくに、晩年の1887年、さまざまな古材を集積して制作した究極の一畳空間は衝撃的だった。三重の伊勢神宮、静岡の三島神社、京都の平等院、宮崎の鵜戸神社、奈良の吉水神社や法隆寺、岐阜の長瀧寺など、極小なのに、多様な部材が共存する。個別の真偽はともかく、各地から部材を寄せ集めたのは事実だろう。その物語性が重要な建築である。おそらく彼の旅の記憶も喚起したのではないか。

2010/12/16(木)(五十嵐太郎)

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