artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
北山善夫 展 一期目 新作絵画
会期:2010/01/23~2010/02/20
MEM[大阪府]
粘土でつくった人型の彫刻をもとに描いたペン画と、宇宙空間を描きつつ星空のなかに動物や人間などの像がみえるようなペン画を出品。その驚異的な細密描を前にすると、ただただ呆然とするほかない。出品作のうち1点は10年間にわたって加筆し続けたとのこと。執念すら感じさせる仕事ぶりに感服した。
2010/01/26(火)(小吹隆文)
聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝
会期:2010/01/23~2010/03/31
大阪歴史博物館[大阪府]
チベット仏教の仏像、仏具、経典を中心に、ポタラ宮を飾った調度、楽器、さらには伝統医学の資料まで、123件が紹介された(うち36件は日本の国宝に当たる国家一級文物)。筆者はチベット仏教の知識を持たないが、そのエキゾチックな造形にはたちまち魅了された。特に仏像のポーズは妖艶で、ヒンドゥー教の流れを汲む見知らぬ仏様や、男神と女神が重なり合った交合仏など、インパクトの強いものばかりだ。全体的に質が高く、非常に楽しめる展覧会だった。ただ一点、記者発表時に不可解な出来事があった。民族衣装をまとったチベット人男女の学芸員と、スーツ姿の中国人学芸員が出席していたのだが、何故か彼らが一言も発しないのだ。ひょっとしたら中国人学芸員はお目付け役で、チベット人学芸員を威圧していたのだろうのか。これはあくまで筆者の邪推に過ぎないが、そう思わせるぐらい彼らの無言は不自然だった。
2010/01/22(金)(小吹隆文)
柴田純生 展
会期:2010/01/12~2010/02/07
ギャラリーなかむら[京都府]
アクリル樹脂を素材にした立体で知られる柴田純生だが、今回の新作はまったくの別系統。緩やかに湾曲させたアルミ板にパール系の特殊な塗料を吹き付けた平面(半立体?)が発表された。作品は、見る角度や光の当たり方次第で色彩がどんどん変化するのが特徴。例えば真正面から見た時は金色の作品は、近づくに従って紫色へと見た目を変える。それはひとえにパール系の塗料の仕業だが、作家が不在だったのでその秘密を聞き出すことはできなかった。シンプルな形態で一見ミニマルアート風だが、実は雅やかな芳香をふりまく作品を前に、ベテランアーティストの実力を再認識した。
2010/01/21(木)(小吹隆文)
シュウゾウ・アヅチ・ガリバー EX-sign(エクス・サイン)
会期:2010/02/27~2010/04/11
滋賀県立近代美術館[滋賀県]
1960年代後半に行なった数々のハプニングや、1973年に発表した死後に自分の肉体を80分割して特定の人物に保管してもらう作品《Body Contract(肉体契約)》などで知られるシュウゾウ・アヅチ・ガリバー。1990年代以降は活動拠点をヨーロッパに移したため、今やその存在は謎めいたものになってしまった。本展は彼の全貌を国内で初めて紹介する展覧会。ドローイング、インスタレーション、パフォーマンスなど多岐にわたるその活動を、初期から最新作までの約120点で明らかにする。
2010/01/20(水)(小吹隆文)
京都オープンスタジオ2010
会期:2010/02/12~2010/02/14
AAS/うんとこスタジオ/桂スタジオ/兼文堂スタジオ/豆ハウス/ライトスタジオ/凸倉庫/GURA[京都府]
※会期は各スタジオによって異なる
京都市内で共同スタジオを営む京都市立芸大のOBを中心とした面々が、同大学の卒業制作展に合わせてオープンスタジオを実施。昨年の同時期には4つのアトリエが同様のイベントを行なったが、今年は数もエリアも昨年より大幅にスケールアップ。その分美術ファンからの注目も大きくなりそうだ。こうしたオープンスタジオが何故盛り上がりを見せているのか。その根底には、一時期のアートバブル的状況や、関西でもコマーシャルギャラリーが増加したことなどによる価値観の変化があると思われる。だとすれば、この傾向は他大学出身者をも巻き込んで今後も続くかも。2010年代の関西アートシーンの震源地になる可能性さえ秘めていると言えよう。
2010/01/20(水)(小吹隆文)