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建築に関するレビュー/プレビュー

重要文化財ブルーノ・タウト《熱海の家(旧日向別邸)》特別公開

会期:2014/11/15

[静岡県]

熱海で、ブルーノ・タウトによる《日向邸》(1936)を見学した。二度目の訪問だったが、今回は詳しい案内付きで、かなりじっくり時間をかけて鑑賞することができた。与えられた躯体の地下空間のリノベーションであり、インテリアの仕事なのだが、アプローチに始まって、その空間を大胆に変えている。設計の際、どれだけタウトが体験した日本の空間と、彼の好みをつぎ込むかなど、細部の情報量が多く、いろいろ考えさせられる建築である。

2014/11/15(土)(五十嵐太郎)

ザハ・ハディド

会期:2014/10/18~2014/12/23

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

以前、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で見た「ザハ・ハディド」展(床がスロープだから、ドローイングも斜めに壁がけしていた)と同様、空間全体を使うインスタレーションは興味深い。また初期のアンビルド時代における建築を表象する方法のバリエーションが豊かなことに才能を感じる。ただし、コンピュータを設計に使うようになってから、こうした部分がなくなり、作品の巨大な彫刻化に向かう。

2014/11/14(金)(五十嵐太郎)

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ウチミチニワマチ

[東京都]

神楽坂にて、増田住吾+大坪克亘の《ウチミチニワマチ》(2009)を訪れた。住宅の閉じたブロック塀を屈曲するエキスパンドメタルに変えたものだが、躯体の窓と同様、いわば既存家屋に対する一種のリノベーションであり、塀という特殊な部分だけをデザインし、建築を拡張しつつ、内部と外部の境界を懐のある空間として再定義する。

2014/11/10(月)(五十嵐太郎)

Boundary Window / 躯体の窓

[千葉県]

津田沼にて、若手建築家の増田信吾+大坪克亘が設計した《躯体の窓》(2014)を見学する。最大の特徴は、建物よりも窓が大きいことだが、外構やインテリアにこだわりをもち、自分である程度の施工も出てきてしまう施主とのやりとりから、奥行きはないが、窓という「敷地」を発見し、そこから空間を構成したものだ。また集合住宅のリノベーションだからこそ起きる不思議なデザインが随所に発生する。さらに、カメラマンの施主によるハウス・スタジオがかもしだすロマンティックな雰囲気が融合し、夢のような空間がつくられた。

2014/11/10(月)(五十嵐太郎)

宇野享 / CAn | Susumu Uno「-ing」展

会期:2014/10/31~2014/11/24

Gallery Nica[愛知県]

名古屋の大須へ。ハセビル8の2階Gallery Nicaの宇野享/CAn「-ing」展を見る。この建物は、宇野自身が設計したものであり、内部をジグザグに階段が貫き、立体街路を歩くような雰囲気だ。また2、3階の壁面が外にはりだし、下に向けて大きな開口をとるために、前面道路と密なコミュニケーションを生む。展覧会は、ガルウィングハウスから現在進行形の公共プロジェクトまでの作品の軌跡をたどる。単体の建築でも自律したものと考えるのではなく、無限に続く全体の一部として構想し、ユニットの展開可能性を意識したデザインへの一貫した関心が、展覧会の形式だからこそ明快に伝わる。

展示風景


2014/11/09(日)(五十嵐太郎)