artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

403architecture[dajiba]

会期:2014/03/21~2014/05/11

[静岡県]

浜松に向い、辻琢磨の案内で、403Architectureの仕事を拝見する。市街地のリノベーションやインテリアの物件が多い。彼らのオフィス、美容室、倉庫、ギャラリー、衣服店、眼鏡店など、計6件をまわった。古材を再編集し、その場所と意味を変えていく表皮のデザインと、東京とは異なる地元のネットワークが生む空間が印象的である。

2014/05/04(日)(五十嵐太郎)

有設計室/川口有子+鄭仁愉《市原湖畔美術館》

市原湖畔美術館[千葉県]

市原湖畔美術館は、有設計室/川口有子+鄭仁愉によるリノベーションだ。コンクリートが弧を描く、懐かしい80年代的空間に対し、ゼロ年代的なポコポコの箱をばらまき、両者をぶつける/ケンカさせるような介入であり、あちこちに複雑な場を生む。アーツ前橋もそうだが、近過去のリノベはこれから重要になるだろう。個人的にポストモダンのリノベーションは興味あるテーマで、あいちトリエンナーレでは青木淳に黒川紀章建築の仮設的なリノベを依頼した。こちらは対決型ではなく、オリジナルへのリスペクトを行なうもの。千葉学による大多喜町役場の増築・改修も、軸線を介して、過去と現在をつなぐ。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)

中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス 藤本壮介《Toilet in Nature》

会期:2014/03/21~2014/05/11

千葉県飯給駅[千葉県]

建築では、藤本壮介の《Toilet in Nature》が強烈だった。なにしろ、隣接する飯給駅の駅舎やホームよりも、トイレの方がデカい。それどころか、車両よりも大きい面積だ。既存の樹木を囲む、大きなリングの中に、ぽつんと透明なボックスに入ったトイレをひとつ置く。まさに自然の中のトイレである。彼らしいユーモアを感じるデザインだ。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)

中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス

会期:2014/03/21~2014/05/11

千葉県市原市南部地域[小湊鐵道上総牛久駅から養老渓谷の間]、中房総エリア[茂原市、いすみ市、勝浦市、長柄町、長南町、一宮町、睦沢町、大多喜町、御宿町][千葉県]

いちはらアート×ミックスをまわる。南端の養老渓谷駅から北上したが、小湊鉄道を積極的に使うコンセプトゆえか、クルマでまわると、駐車料金が相当かさむのが辛い。市原湖畔美術館と旧里見小学校の作品が良かった。ベストは月崎駅の木村崇人による《森ラジオ ステーション》である。駅員の詰所を改造した、緑に覆われた奇蹟の空間だ。スマイルズのわっぱやAAAのCamp!など、食も楽しめる。越後妻有に比べると、全体のエリアは小さく、思ったよりもコンパクトにまわることができる。ただ、電車とバスですべて乗り継ぐと、それはそれで大変そう。なお、各駅舎や電車はかわいらしく、見る価値はあった。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)

今井兼次+千葉学《大多喜町役場庁舎》

[千葉県]

千葉の大多喜町役場へ。50年以上前に建てられた今井兼次による空間は、彼特有の装飾性や重さも組み込みながら、軽快なモダニズムのテイストをあわせもつ。そして千葉学による改修と増築は、もとの建物をリスペクトしており、その軸線をうまく引き出しながら、現代的な明るい大空間につなぐ。ここで天井に現れる斜めの線がまた効果的である。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)