artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:山本太郎 展「古典─the classics─チェリー」
会期:2011/02/12~2011/03/19
イムラアートギャラリー[京都府]
関西では3年ぶりとなる山本の個展。昨年に謡曲をテーマに制作した大作《桜川》と《隅田川》を展示するほか、源氏物語をベースにした《花下遊楽図(仮)》をはじめとする新作の小品も数点出品する。本展は昨年に名古屋、東京、金沢を巡回した展覧会シリーズの一環だが、上記の新作が含まれている分だけ特別感があり、関西の観客のモチベーションが上がりそうだ。
2011/01/20(木)(小吹隆文)
プレビュー:三瀬夏之介「だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる」
会期:2011/02/04~2011/02/26
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]
若手日本画家のなかでも飛び抜けた存在感を放っている三瀬が、母校のギャラリーで個展を開催する。展示は2部構成で、第1部の「だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる」では、幅20メートル以上の大作を中心に、第2部「水墨考」では、近年の旺盛な活動意欲が見てとれる作品群が出品される予定。ますますスケールアップしているであろう彼の作品を楽しみにしている。
2011/01/20(木)(小吹隆文)
わくわくSHIBUYA coordinated by 遠藤一郎/荒川智則個展 presented by カオス*ラウンジ
会期:2011/01/13~2011/02/13
トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]
2本の展覧会を同時開催。片方ではいろんな人たちが寄ってたかってワーッとやってる。いいなあこういうアナーキーなの。隣の部屋でもいろんな人が寄ってたかってワーッとやってるが、こっちのほうが作為というか悪意を感じる。いいなあこういうのも。さて、どっちがどっちだ?
2011/01/18(火)(村田真)
牧野智晃「Daydream」
会期:2011/01/12~2011/02/02
B GALLERY[東京都]
牧野智晃のデビュー写真集『TOKYO SOAP OPERA』(フォイル、2005)は、彼の母親の世代の中年女性たちを、その居住空間でわざと大げさなポーズをとらせて撮影するというシリーズだった。彼女たちのどうしようもない自意識過剰ぶりを、やや皮肉を込めてスペクタクルなドラマに仕立て上げたこのシリーズを、今度はニューヨークで2008年に再演したのが「Daydream」である。
前作と比較すると、カメラが中判から4×5インチサイズになったことで、室内のディテールがよりくっきりと写り込んでいる。距離もやや引き気味の写真が多く、「観察する」という態度が強まっているように感じる。それよりも興味深かかったのは、日米の女性たちの「演じる」ことへの意識の差だった。どうしても顔が引きつってしまい、ぎこちなくなりがちな日本の女性たちと比較すると、アメリカの女性たちは堂々とふるまっているように見える。笑うに笑えなかった前作よりも、今回の方が安心して「SOAP OPERA」を楽しめる気がした。ただ、このアイディアをこれ以上いろいろな国で展開しても、バリエーションが増えるだけであまり発展性はないように思える。「中年女性」というテーマそのものは面白いので、何か別なやり方を考えてみてはどうだろうか。写真展にあわせて、瀟洒な装丁の写真集『Daydream』(4×5 SHI NO GO)も刊行されている。
2011/01/18(火)(飯沢耕太郎)
藝大先端2011
会期:2011/01/15~2011/01/23
BankART Studio NYK[神奈川県]
BankART Studio NYKで催される芸大先端の卒展修了展は毎年必ず見ているけれど、正直に言って、今回は秀作に出会う機会がことのほか少なかったように思う。いま思い返してみても、記憶に焼きつけられた作品がまったくない。作品の内容以前に、水平線が取れていなかったり、ビニール紐がだらしなく剥き出しにされていたり、粗雑な展示技術も目について仕方がなかった。「先端」という看板におごっているようにしか見えないといったら言い過ぎかもしれないが、しょせん看板などは、いつか朽ち果ててしまうものなのだから、歴史に打ち勝つ作品を残すつもりがあるのなら、結局は個人の底力を自分で鍛えるほかないのである。
2011/01/18(火)(福住廉)