2020年03月15日号
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artscapeレビュー

柴田祐輔 仮定ビート

2010年03月01日号

会期:2010/02/03~2010/02/14

Art Center Ongoing[東京都]

「5th Dimension」展に参加していた柴田祐輔の個展。Ongoingの道路に面した外ガラスに「Yシャツ95円」などのクリーニング店のポップ広告を、2階の窓ガラスには「エステシルク」という怪しげな文字を、それぞれ貼りつけた。センスゼロの蛍光色がなんともキッチュでけばけばしい印象を強くしているが、展示の内容はじつにミニマル。家電量販店などで多用されている冷たい照明のもと、高級感を装ったフェイクで覆われた建物の外壁を打ち立て、その前で暗闇のなかで瞬く光の写真などを発表した。現実的な実在よりも、それらとは無関係なイメージに強いリアリティを感じるシミュラークルがモチーフとなっているようにも見えるが、そこには記号の戯れを嘯く虚勢もニヒリズムも見られない。ただ、冷たい光がのっぺりとした世界をひたすら照らし続けている。言葉のほんとうの意味で、フラットな世界を見せようとしていたようだ。奥行きもなければ、影もない、ほんとうの平面世界。照明を反射する黒いヘルメットと、暗闇の中で白く輝く光は、どこかで反転しながら通じ合っているようにも見えたが、そのようにして「深読み」することそのものが、深さを欠いた平面に安心できない私たちの弱点なのかもしれない。キッチュな装いとは裏腹に、おそろしい作品である。

2010/02/12(金)(福住廉)

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