artscapeレビュー
中岡真珠美 展
2009年08月15日号
会期:2009.07.13~2009.07.25
Oギャラリーeyes[大阪府]
実際に目にした風景を撮影写真をもとに描いていくという手法や、余白の表現などの特徴はこれまでと同じだが、建造物をモチーフにした今展の作品の印象は以前とは異なる。描かれていたのは広島の原爆ドーム。歴史的な意味や象徴よりも、構造物自体やその存在感に惹きつけられて描いたのだという。中岡のこれまでの作品には、余白とモチーフ、画材の絶妙な釣り合いが成す静態的な画面の印象から見いだせる風景というものがあり、それは彼女の作品の魅力のひとつだと感じていたのだが、イメージが強いモチーフを描いた新作は、対象から浮かび上がる空間的な表現の面白みがいっそう際立つだけに、風景としての想像が限られていくという気もした。中岡が今後どのように構造物を描いていくのか、いろんな意味でとても気になる。
2009/07/18(土)(酒井千穂)