artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

東京国立近代美術館

会期:2014/07/12~2014/09/21

[東京都]

遊就館から歩けるけど、今日は暑いから地下鉄に乗って竹橋の東近へ。ここは153点もの戦争画を有する宝庫だが、残念ながら常設展で少しずつしか見られない。今回は藤田嗣治《アッツ島の玉砕》をはじめ、岩田専太郎《小休止》、中村研一《北九州上空野辺軍曹機の体当りB29二機を撃墜す》の3点の出品。なるべく目立たないように小出しに紹介してるけど、まだ公開されてない作品もたくさんあるんだろうな。この3点のほか、1941年制作の国産アニメ『動物となり組』も上映されていた。トン、トン、トンカラリンの……こんなの子どもに見せていたのか。

2014/07/12(土)(村田真)

靖国神社遊就館

会期:2014/07/12~2014/09/21

[東京都]

信濃町から2駅、市ヶ谷から徒歩10分の靖国神社境内にある遊就館は、1882(明治15)年開館というから東博と並んで歴史ある戦争博物館。博物館だから美術品の扱いはけっこう大雑把で、目立たない壁に照明も当てず、作者名もなく掛かっていたりする。そりゃゼロ戦とか人間魚雷とか展示されてるんだから、わざわざ絵を見にくるヤツなんかいねーし。ここで見るべき戦争画といえば、女流美術家奉公隊による巨大なコラージュ的合作《大東亜戦皇国婦女皆勤の図》。珍しい女性画家たちによる戦争画だ。

2014/07/12(土)(村田真)

聖徳記念絵画館

会期:2014/07/12~2014/09/21

[東京都]

今日は常設展示で戦争画が見られる都内の3カ所を回ってみた。まずは神宮外苑の絵画館。ここは明治天皇と昭憲皇太后の事績を80枚の絵画で伝えるもので、戦争画といっても西南の役とか日清・日露戦争までなので、第二次大戦のいわゆる戦争記録画とは無縁だ。でもふと思ったのは、これら大正から昭和初期に描かれた大画面(3×2.5メートル)での歴史画制作の経験が、のちの戦争記録画に役立ったのではないかということ。そんな巨大な歴史画を描く機会なんて少なくとも洋画家にはほとんどなかったからだ。ちなみに、ここに奉納された画家でのちに戦争画も手がけた洋画家には、石井柏亭、石川寅治、大久保作次郎、太田喜二郎、鹿子木孟郎、北蓮蔵、清水良雄、和田三造らがいる。とくに鹿子木の《日露役奉天戦》と東近にある《南京入城》は、縦長・横長の違いはあるけれど、兵隊が馬に乗って行進するモチーフおよび構図はよく似ている。無関係とはいえないだろう。

2014/07/12(土)(村田真)

グループ展「‘Cazador’KURAMATA Shiro/TAKAMATSU Jiro Photographed by FUJITSUKA Mitsumasa」

会期:2014/06/18~2014/07/19

Yumiko Chiba Associates[東京都]

「カッサドール」とは新宿2丁目にあったサパークラブで、倉俣史朗が内装を手がけ、高松次郎が壁画を描いた。その制作風景を撮影した藤塚光政の写真を展示しているのだが、これがただの記録写真ではない。高松は壁に例のごとく人影を描いていく。その方法はモデルの背後から強い光を当てて壁に影を投影し、それを高松がなぞっていくというやり方。しかしこれだと高松自身の影も重なってしまう。それを藤塚は撮っているのだ。つまりここにはモデルの影、それをなぞった影の絵、そして高松自身の影という三つの影が捉えられているわけだ。間違って高松は自分の影を描かなかっただろうか。

2014/07/11(金)(村田真)

プレビュー:夏休み企画展イマジネーション・スーパーハイウェイ

会期:2014/07/12~2014/08/17

京都芸術センター[京都府]

新鮮な感動や面白い出来事に出会ったときに刺激される想像力と、そこから生まれる新たな表現。創造行為の契機となる「想像力の結節点」に目を向け、繊細でナラティブな作品を発表している3名のアーティストを紹介する本展には、「考えることを止めたら、きっときみは後悔する」という意味深長なサブタイトルもつけられている。出品作家は井上大輔、牛島光太郎、濱口直巳。物語や言葉の連想を楽しみ、味わえる展覧会になりそうだ。会期中は関連企画として出品作家とゲストによるトークやパフォーマンスイベントなども開催される。

2014/07/11(金)(酒井千穂)