artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
オルセー美術館展 印象派の誕生──描くことの自由
会期:2014/07/09~2014/10/20
国立新美術館[東京都]
もう5、6回目だろうか、オルセー美術館展。毎回手を替え品を替えコレクションを小出しに紹介しているが、今年は第1回印象派展から140年になることから「印象派の誕生」をテーマとした。マネの《笛を吹く少年》を筆頭に、ミレー《晩鐘》、モネ《サン・ラザール駅》、アカデミズムの画家カバネルの《ヴィーナスの誕生》も含め、有名絵画・人気作品が目白押し。でもぼく的には、印象派の主流から少し外れたバジールの《バジールのアトリエ、ラ・コンダミンヌ通り》や《家族の集い》、床の輝きを見事に表現したカイユボットの《床に鉋をかける人々》、ヴェルレーヌとランボーが登場するファンタン・ラトゥールの《テーブルの片隅》、最愛の母を描いたホイッスラーの《灰色と黒のアレンジメント第1番》、印象派にはない独特の趣味を感じさせるティソの《ミラモン侯爵夫妻と子どもたちの肖像》などを見られたのがうれしい。次回は陳腐なアカデミズム絵画ばかりを集めた「ポンピエの画家たち」を特集してくれないかな。
2014/07/08(火)(村田真)
今井祝雄─Retrospective─影像と映像
会期:2014/07/08~2014/08/02
ARTCOURT Gallery[大阪府]
今井祝雄が具体美術協会時代の白い造形から映像表現に軸足を移した、1970年代の仕事を中心に展覧。作品は、21点組の写真作品《ポートレイト 0~20歳》、1979年に始まり現在も継続しているポラロイド写真の自写像《デイリー・ポートレイト》、テレビの放映で使用されなかったフィルムを素材にした映像&インスタレーション《ジョインテッド・フィルム》(画像)など12点。《デイリー・ポートレイト》が名作なのは言うまでもないが、他の作品にも1970年代の問題意識が濃密に立ち込めており、それを21世紀のいま追体験できることが嬉しかった。こんな機会は滅多にないので、20代・30代の若手作家がひとりでも多く本展を見ておいてくれればよいのだけど。
2014/07/08(火)(小吹隆文)
プレビュー:NEW INTIMACIES 親密すぎる展覧会
会期:2014/07/18~2014/08/31
アーティスト田中和人と菅かおるによる企画。8組のカップルによるグループ展。出品は荒川医+サージ・チェレプニン 、井上文雄 (CAMP) +永田絢子 (picniic) 、菅かおる+田中和人、木村友紀+前田岳究、COBRA+八重樫ゆい 、齋木克裕+西脇エミ、ローゼン・ジェフリー (gallerist) +ローゼン美沙子 (gallerist) 、高木瑞季 (curator) +竹崎和征。あの人とあの人が……へえ、という興味はさておき、なんだかすごいラインアップだ。想像がつかない、という意味ではとても興味深い。このテーマをどこまで掘り下げて展示に落とし込むのだろう。
2014/07/08(火)(松永大地)
プレビュー:「わたしたちの音楽」展
会期:2014/07/30~2014/08/03
京都は山科在住の画家・ミシシッピによる声がけではじまったコミック・ジン『sinta』展。彼はこれまでに『KyoCo』(4冊刊行)というコミック・ジンも主宰していて、いずれもバイリンガルだ。タイトルの通り、音楽がテーマ。それだけに単なる原画展ではなく、作家の趣味が爆発するようなアグレッシブなものを期待したい。短めの会期でリリース・パーティーという趣向もいい。
8/22~31には神戸のspace eauuuにも巡回。
2014/07/08(火)(松永大地)
スリーピング・ビューティー
会期:2014/05/17~2014/07/21
広島市現代美術館[広島県]
コレクションを活用しながら、美をテーマに古今東西の現代美術の作品を紹介する展覧会。冒頭はイブ・クラインなどだが、田口和奈の新作など、後半のセレクションは若手が多い。岩崎貴宏による金閣や銀閣など、水に映る古建築の実体とイメージの両方を模型化する作品は労作だ。
2014/07/06(日)(五十嵐太郎)