artscapeレビュー

聖徳記念絵画館

2014年08月15日号

会期:2014/07/12~2014/09/21

[東京都]

今日は常設展示で戦争画が見られる都内の3カ所を回ってみた。まずは神宮外苑の絵画館。ここは明治天皇と昭憲皇太后の事績を80枚の絵画で伝えるもので、戦争画といっても西南の役とか日清・日露戦争までなので、第二次大戦のいわゆる戦争記録画とは無縁だ。でもふと思ったのは、これら大正から昭和初期に描かれた大画面(3×2.5メートル)での歴史画制作の経験が、のちの戦争記録画に役立ったのではないかということ。そんな巨大な歴史画を描く機会なんて少なくとも洋画家にはほとんどなかったからだ。ちなみに、ここに奉納された画家でのちに戦争画も手がけた洋画家には、石井柏亭、石川寅治、大久保作次郎、太田喜二郎、鹿子木孟郎、北蓮蔵、清水良雄、和田三造らがいる。とくに鹿子木の《日露役奉天戦》と東近にある《南京入城》は、縦長・横長の違いはあるけれど、兵隊が馬に乗って行進するモチーフおよび構図はよく似ている。無関係とはいえないだろう。

2014/07/12(土)(村田真)

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