artscapeレビュー
グループ展「‘Cazador’KURAMATA Shiro/TAKAMATSU Jiro Photographed by FUJITSUKA Mitsumasa」
2014年08月15日号
会期:2014/06/18~2014/07/19
「カッサドール」とは新宿2丁目にあったサパークラブで、倉俣史朗が内装を手がけ、高松次郎が壁画を描いた。その制作風景を撮影した藤塚光政の写真を展示しているのだが、これがただの記録写真ではない。高松は壁に例のごとく人影を描いていく。その方法はモデルの背後から強い光を当てて壁に影を投影し、それを高松がなぞっていくというやり方。しかしこれだと高松自身の影も重なってしまう。それを藤塚は撮っているのだ。つまりここにはモデルの影、それをなぞった影の絵、そして高松自身の影という三つの影が捉えられているわけだ。間違って高松は自分の影を描かなかっただろうか。
2014/07/11(金)(村田真)