artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

ネオ・ダダ新作展 2013-2014

会期:2014/02/17~2014/03/08

ギャラリー58[東京都]

1月に秋山祐徳太子をやったばかりのギャラリーで、今度は赤瀬川原平、篠原有司男、田中信太郎、吉野辰海の4人によるネオ・ダダだだだ。ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズは1960年に結成され、1年たらずで解散した伝説的な前衛グループだが、出品はすべて新作。よくも悪くもいまだネオ・ダダ的なのは、蛍光色を使った大型ペインティングと水彩を展示した篠原だろう。この半世紀ほとんどブレがない。吉野も相変わらず奇怪な犬人間の彫刻を出している。逆に田中は60年代にいち早くミニマルアートに転じ、今回はサイズも形態も台座さえもミニマルな彫刻を出品。この半世紀間もっとも変転に富んでいたのは赤瀬川かもしれない。ネオ・ダダの後ハイレッド・センターを結成し、千円札裁判で有罪判決を下され、超芸術トマソンを経て路上観察学会に合流し、そのあいだに芥川賞を受賞するという離れ業を成し遂げている。今回はライカ同盟以後の写真作品の展示。半世紀以上前の「ネオ・ダダ」というビッグバンから飛び散った現在の姿が見られる。

2014/02/20(木)(村田真)

ミヒャエル・ボレマンス展

会期:2014/02/20~2014/02/25

臨済宗 建仁寺塔頭 両足院 水月亭[京都府]

通常非公開の庭、茶室が会場ということはあるが、会期も短く、人数も限られたなかで、主催者側(もしくは作家)の意図なのか、グループごとでの観覧は作品を十分に味わうにはあまりにも時間が短く、瞬く間に鑑賞時間は終了。ホワイトキューブで見せることでは得られない自然光による陰影はもちろん美しかったし、生花、光、しつらえ、庭すべてがこの墨絵(2点)のための空間としてのつくり込みであったことは存分に伝わるが、結果、鑑賞者はそれを茶室の躙り口から覗くだけという贅沢すぎる趣向は、どのような人をイメージしてつくられた展覧会だったのだろう。

2014/02/20(木)(松永大地)

プレビュー:Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続

会期:2014/03/21~2014/05/11

京都国立近代美術館[京都府]

20世紀後半以降、世界から注目を浴びている日本のファッション。その豊かな創造性・独自性を、1960年代の森英恵、1970年代の高田賢三と三宅一生、1980年代の川久保玲と山本耀司をはじめとするファッション作品100点以上、並びに映像や関連資料などで浮き彫りにする。日本のファッションの特徴として挙げられるのは、日本の伝統的な美意識とも共通する、平面性、素材の重視、無彩色だが、本展ではそれらに加えて、日本の高度な工芸技術や各時代の前衛芸術との関わりにもスポットを当てる。さらに、21世紀以降顕著になったアニメ、漫画などのサブカルチャーや、インターネットとの関係、高度にシステム化されたファッション制度からの逸脱にも触れ、今日のファッションについても考察する。

2014/02/20(木)(小吹隆文)

プレビュー:新平誠洙/岸本光大「Surge/リブログ」、ITO+BAK(伊東宣明+朴永孝)「0099」、LOST CONTROL 本田アヤノ+中田有美

会期:2014/03/11~2014/03/30

海岸通ギャラリー・CASO[大阪府]

京都市立芸術大学出身あるいは大学院在籍者を中心とする6作家が、3つの2人展を同時開催する。画家の新平誠洙と岸本光大が目指すのは、それぞれの作品を展示して絵画による偶発的な状況の構築。映像をはじめさまざまなジャンルの作品を制作する伊東宣明と韓国人作家の朴永孝は、0から99までの数字を記した紙を撮影した映像をリアルタイム編集で上映する(画像)。そして彫刻家の本田アヤノと画家の中田有美は、両者の作品を一つの空間に並べることで予定不調和な空間をつくり上げようと試みる。若手によるユニークな企画が3つ並ぶことの相乗効果はもちろんだが、彼らが会場の広大なスペースをいかに使いこなすのかにも注目したい。

2014/02/20(木)(小吹隆文)

プレビュー:三瀬夏之介 風土の記─かぜつちのき─

会期:2014/03/09~2014/05/11

奈良県立万葉文化館[奈良県]

奈良県出身で、現在は東北を拠点に活動する三瀬が、故郷の美術館で大規模な個展を開催する。彼の作品の特徴は、自分が暮らす土地の文化や風土を鋭敏に感受し、そのエッセンスを自己というフィルターを通して表出させる点にある。それは、絵画を通して日本を見つめ直し、日本画とは、日本で絵を描くこととは、を問い続ける真摯な作業と言えよう。本展では代表作に加え新作も発表され、関西のファンには見逃せない機会となる。

2014/02/20(木)(小吹隆文)

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