artscapeレビュー
映像に関するレビュー/プレビュー
TOKYO TRIBE
ラップ・ミュージカルはうまくはまっていたし、園子温節全開の暴れぶりで痛快だった。岩井俊二の音楽映画『スワロウテイル』における無国籍的な円都は、真面目に風呂敷を広げすぎて、後半から辛かったが、これはそもそもハチャメチャだし、一夜のストリート・ギャングの抗争にとどめており、最後まで架空の東京という世界観が崩れない。
2014/10/08(水)(五十嵐太郎)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン監督)は、凸凹メンバーによるハチャメチャな宇宙活劇の21世紀版である。懐メロも楽しいし、最後の空中戦も迫力だった。動きはまだ記号的なものが残るが、アライグマや植物など、非人間のキャラをアニメ的に抽象化することなく、人間と並べて遜色ない存在感を持たせられることに感心させられた。こうした技術が進化していくと、今度は人間の番となり、俳優が不要となるのだろうか。
2014/09/25(木)(五十嵐太郎)
猿の惑星 新世紀
映画『猿の惑星 新世紀』(マット・リーヴス監督)を見る。異民族との共存か、過去の恨みを引きずる好戦派の陰謀による戦争か。理想的な指導者の敵が内部にいることも含めて、面白い物語だが、当然、猿の世界を描いているわけではなく、古典的な人間社会の寓意だ。したがって、アメリカの銃社会も意識しているだろうし、日本の現状と照らし合わせて考えることもできる。それにしてもリーダーに成長したシーザーが立派である。現代の世界の指導者たちもそうなって欲しい。
2014/09/24(水)(五十嵐太郎)
フィオナ・タン まなざしの詩学
会期:2014/07/19~2014/09/23
東京都写真美術館[東京都]
時間がないのに最終日に駆け込んだ理由はただひとつ、ロンドンのサー・ジョン・ソーン美術館を撮った映像が出ていると聞いたからだ。だからほかの作品は飛ばしてその作品《インヴェントリー》しか見なかった。ジョン・ソーンは18-19世紀の建築家で、収集した絵画や彫刻、建築の断片やレプリカを自宅の壁にびっしり並べ、一種の迷宮世界を築いているのだ。フィオナ・タンはその美術館に6種のフィルムやビデオなど異なるカメラを持ち込んで撮影し、サイズの異なる6面スクリーンに重層的な世界を映し出す。でももっと奥深い迷宮をのぞいてみたかったなあ。
2014/09/23(火)(村田真)
プレビュー:第8回中之島映像劇場 ジョナス・メカス カメラ、行為、映画
会期:2014/10/18~2014/10/19
国立国際美術館[大阪府]
「美術と映像」をテーマに多様な映像作品を紹介するプログラムの第8弾。日記映画という独自の形式を創り上げたジョナス・メカスの世界を紹介する。作品は、1950年代のブルックリン、1971年のリトアニア、ドイツの収容所跡とウィーン訪問の3パートからなる『リトアニアへの旅の追憶』(1971~72)と、ケネス・ブラウン戯曲、リビング・シアター上演による舞台をルポルタージュ風に記録した『営倉』(1964)の2作。作風がやや異なる2作品を通して、映画とは何か、表現するとはどういうことかについて考える。
2014/09/20(土)(小吹隆文)