artscapeレビュー
映像に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:Art trip vol.01 窓の外、恋の旅。──風景と表現
会期:2014/09/27~2014/11/30
芦屋市立美術博物館[兵庫県]
「風景」をテーマに、芦屋ゆかりの作家である小出楢重、吉原治良、村上三郎、ハナヤ勘兵衛、そして現在活躍中の下道基行、林勇気、ヤマガミユキヒロの作品を展覧。さらに、谷川俊太郎の詩を彼らの作品とともに展示する。絵画、写真、映像、詩をひとつの会場に並べることで、近代と現代の風景表現の変遷と差異、美術作品と詩の共鳴を味わいたい。
2014/08/20(水)(小吹隆文)
トランスフォーマー/ロストエイジ
テキサス(父と娘)ーシカゴ(本社奪還)ー広州(工場叛乱)ー香港(決戦)という流れだが、物語のディテールよりも、途中から緩急なしにクライマックスがずっと続く、てんこ盛りのマイケル・ベイ節はまったく健在である。しかし、日本は過去の侍でしか表象されず、ハリウッド映画における現代中国(資本)のプレゼンスの大きさを痛感さぜるをえない内容だった。
2014/08/18(月)(五十嵐太郎)
STAND BY ME ドラえもん
映画『スタンドバイミー ドラえもん』(監督:八木竜一、山崎貴)を見る。建築模型+キャラCGの描写が生みだした独自の空間感は評価できる。新作の脚本ではなく、原作の良さを再認識させる有名なエピソードを束ねたのも悪くない。成長物語の泣きをやや強調し過ぎのところもあるが、今回の山崎監督には騙されてよいと思った。彼の実写だと鼻につくような過剰な演出や悪ふざけも、マンガだと、逆にこれくらいでちょうどいい感じである。『スタンドバイミー』のCGだが、『ドラえもん』については最初から違和感がなく、人物ははじめ少し引っかかったが、途中から気にならなくなった。が、さすがのアクション・シーンを演出したタケコプター以外、CG表現の必然性はそれほどでもない。
2014/08/13(水)(五十嵐太郎)
思い出のマーニー
映画『思い出のマーニー』(監督:米林宏昌、製作:スタジオジブリ)は想像以上に良かった。あまりジブリに出てこない、こじれた女性の主人公が療養の地で体験する奇譚であり、一夏の成長物語になっている。そして鍵となる水辺の幻想的な湿っ地屋敷も、存在感を放つ重要な登場キャラだ。とくに窓辺に哀しげにたつマーニーの姿が印象的であり、窓映画といえる。心に残る細かい意匠設計は、映画美術の種田陽平が手がけたものだ。
2014/08/01(金)(五十嵐太郎)
GODZILLA ゴジラ
映画『ゴジラ』(監督:ギャレス・エドワーズ)を鑑賞する。しばしば酷評される1998年のハリウッド版の爬虫類的ゴジラも文化的な誤読として興味深かったが、今回は畏怖すべき自然の象徴として描く。原発事故、情報隠蔽も交え、現代的なテーマを組み込んでいるが、怪獣ムートーの出番が多過ぎかもしれない。暗がりのなかで出し惜しみしながら、全体をあまり見せない戦闘シーンは印象的だった。トランスフォーマーが晴天のもと、うんざりするくらい超速で変形バトルが延々と続くのとは対照的である。直接すぐに見せない、引張って引張っての演出は、途中、なかだるみもなくはないが、ゴジラの聖性を高めている。やはり1954年の第一作がベストだとは思うが、これだけのクオリティのゴジラをハリウッドでつくられると、もう日本で制作することは今後難しいかもしれない。
2014/08/01(金)(五十嵐太郎)