artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

プレビュー:学園前アートウィーク2015──イマ・ココ・カラ

会期:2015/11/07~2015/11/15

近鉄「学園前駅」南エリア[奈良県]

関西を代表するニュータウンで、高級住宅街としても知られる奈良・学園前で、地域アートのイベントが行なわれる。会場は、近鉄「学園前駅」南側の邸宅、学校、公民館、美術館、ギャラリーなど7カ所。出品作家は、安藤栄作、伊東宣明、稲垣智子、マリアーネ、三瀬夏之介など14組だ。また、帝塚山大学、東北芸術工科大学、奈良教育大学による共同制作、地域の歴史をテーマにした写真展も同時開催される。一見豊かな環境に見える学園前だが、じつは少子高齢化や空き家問題が静かに進行しつつあるという。そうした問題をあぶり出し、意識を共有するために現代アートを用いるのがこのイベントの主旨である。過疎地でも大都市でもなく、「郊外」をクローズアップした点に、これまでの地域アートイベントとは異なる目新しさを感じる。

公式サイト http://gakuenmae-art.jp/

2015/10/20(火)(小吹隆文)

UNKNOWN ASIA──ART EXCHANGE OSAKA 2015

会期:2015/10/17~2015/10/18

大阪市中央公会堂[大阪府]

大阪のFM局「FM802」のアートプロジェクト「digmeout」と、アジアン・クリエイティブ・ネットワーク(ACN)等が共同で企画した、アーティスト主体のアートフェア。日本、中国、台湾、香港、韓国、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシアから120組のアーティストが集い、作品の展示・販売を行なった。一方、日本と東南アジア各国からアート、デザイン、メディアのキーパーソンを審査員として招いており、彼らとアーティストの出会いの場、つまりビジネスマッチングの機会を設けているのも大きな特徴である。出展者から国際的に活躍する人材を輩出すれば、このイベントのステイタスは揺るぎ無いものになるだろう。そのためにも、第2回、第3回と継続する必要がある。筆者は会期前日のプレビューに参加したが、会場を覆う華やかな熱気と多国籍の人々が集う様子に高揚感を覚えた。今後関西を代表するアートイベントになるよう、上手に育ててほしいものだ。

2015/10/16(金)(小吹隆文)

ベルリン楽器博物館

[ドイツ、ベルリン]

フィルハーモニー隣りの楽器博物館へ。これも室内楽ホールと同様、シャロウンのスタイルだが、彼の設計ではない。普段は隠されている楽器の内部も見えるような展示が多く、楽器は器械の一種なのだと再認識させる。また、通常見かけない特殊な楽器もいろいろあって、進化の過程で登場した傍流の深海魚や変わった昆虫に遭遇するような面白さがある。

2015/09/25(金)(五十嵐太郎)

ユダヤ人犠牲者記念館

ユダヤ人犠牲者記念館[ドイツ、ベルリン]

二度目のユダヤ人犠牲者記念館。地上はアイゼンマンとリチャード・セラの協同により、揺らぐ直方体の森が広がる。足下だけでなく、墓石のようなヴォリュームが微妙に傾き、生きているかのようだ。地下の情報センターは、天井や展示デザインに地上のグリッド・パターンを反映させながら、ホロコーストに絞った悲劇の内容を伝える。

2015/09/25(金)(五十嵐太郎)

ダニエル・リベスキンド《ベルリン・ユダヤ博物館》

[ドイツ、ベルリン]

一般オープン(2001年)以来、つまり14年ぶりの《ユダヤ博物館》へ。アーティストとグリーナウェイのコラボレーションの展示を開催していた。以前、訪れたときは昼間だったが、今回は夕方だったので、ホロコーストタワーの内部の光がもっと弱々しく、さらに絶望的な空間に感じられた。また、外に出たときはもう夜になっており、リベスキンドお得意のジグザグラインの開口から室内の照明が漏れ、まさに闇の中の雷のように見える。亡命の庭もほのかに光り、時間帯によってかなり印象が異なることが収穫だった。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)