artscapeレビュー
その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー
プレビュー:鉄道芸術祭vol.4「音のステーション」
会期:2014/10/18~2014/12/23
アートエリアB1[大阪府]
京阪電車の駅コンコース内にあるアートエリアB1が毎年開催している、鉄道の創造性に着目した芸術プログラム。過去には、西野達、やなぎみわ、松岡正剛がプロデューサーを務めたこともあるが、今回はプロデューサー制を取らず、「音」をテーマにした作品展示やパフォーマンス、コンサート、ワークショップなどを開催する。ゲストは、有馬純寿、伊東篤宏、宇治野宗輝、江崎將史、鈴木昭男、野村誠、藤本由紀夫、八木良太などの面々。彼らがつくり上げる、ジャンルや業態の枠を超えた“音のステーション”がいまから楽しみだ。
2014/09/20(土)(小吹隆文)
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014
会期:2014/09/13~2014/11/24
六甲ガーデンテラス、自然体感展望台六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ケーブル、天覧台、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)[兵庫県]
六甲山上のさまざまな施設にアート作品を配置し、ピクニック感覚で山上を周遊しながら作品を体験することで、アートと六甲山双方の魅力を再発見できるイベント。今年で5回目を迎えることもあり、もはや円熟味すら感じさせる盤石の仕上がりになっていた。ただし、円熟味=予定調和ではない。たとえば、バス1台をサウンドシステムに変換させた宇治野宗輝、鉄人マラソンを控えてトレーニング兼パフォーマンスを行なった若木くるみ、会期中ずっと被り物スタイルで作品制作を続ける三宅信太郎など、こうした場でなければ出会えないタイプの作品が多数ラインアップされており、現代美術の尖端性もフォローされているのだ。昨今は地域型アートイベントが全国的に乱立し、アートが地域振興のツールに堕しているとの批判もあるが、「六甲ミーツ・アート」は双方のバランスを上手に保っていると思う。昨年は台風の影響でケーブルカーが長期間不通になるアクシデントがあったが、今年は天候に恵まれて滞りない運営が行なわれるよう期待している。また、今年は「ザ・シアター」と題したパフォーマンス系プログラムが多数予定されている。それらの反応も気になるところだ。
2014/09/12(金)(小吹隆文)
平成知新館オープン記念展 京へのいざない
会期:2014/09/13~2014/11/16
京都国立博物館 平成知新館[京都府]
長らく完成が待たれていた京都国立博物館の新たな平常展示館、「平成知新館」がついにオープン。開館記念展として、1階から3階までの13展示室すべてを使用した大規模展が開催されている。その内容は、古代から近世までの美術工芸品を通して京文化の粋を見せるといった趣で、ジャンルは、陶磁、考古、絵画、彫刻、書跡、染織、金工、漆工など。出品点数は前後期合わせて400点以上、うち、国宝が62点、重文が130点という豪華さである。展示室は、スポットライト以外は照明を控えており、黒を基調としたシックな装いだ。谷口吉生建築のなかでも、東京国立博物館法隆寺宝物館と共通性が感じられる。展示スタイルは、以前が旧態依然とした標本展示だったのに対し、平成知新館では考古品であっても1点1点を美術品のように見せており、大幅にグレードアップしている。展示内容に建築の魅力が加わって、本展は今秋の関西で最注目の展覧会となるであろう。
2014/09/10(水)(小吹隆文)
第4回産廃サミット─廃棄物を言い訳にしないデザイン展─
会期:2014/09/06~2014/09/14
プラス・ショールーム「+PLUS」[東京都]
日頃我々がゴミとして排出している“廃棄物”の素材性を活かしたアート、プロダクトなど、公募により選出された80名の作品を展示した展覧会イベント。廃棄物処理業者の株式会社ナカダイが主催する今展は、”素材=廃棄物”という見地からモノの価値や捨て方、現在の我々の生活のあり方、創造の可能性を見つめ直そうというものであった。捨てられたプラスチックの道具やおもちゃの部品など、様々な廃品から制作した派手な装飾のリヤカー《移動祭壇》を引き、街中を走るという活動を行っている石田真也が出品するというので見に行った。手芸から彫刻まで、廃品を用いたさまざまな作品とともに主催会社が扱う商品も陳列された会場は、全体には「何でもあり」の雑多な印象。興味を持つものは他にもあったが、石田の新作はだんとつに目を目を引いた。《石田延命所》という車輪付きのその作品は、これまで石田が発表してきた《移動祭壇》と同様のコンセプトで制作されたもの。しかし、主にその造形センスに注意が傾きがちだったこれまでとも異なり、今回は細部のマテリアルにもその使い方にも石田ならではのユニークな発想と工夫がうかがえて、作家の遊び心にもワクワクする興奮を覚えた。石田のアートワークは、素材集めにしろ制作物にしろ、実際に外に出ることで新たな出会いや交流を生み出すという魅力をもっている。作品自体がただ廃材を使った奇抜な「祭壇」というインパクトを超えて昇華した印象だったのが嬉しい。今後の発表活動がますます楽しみになった。
2014/09/06(土)(酒井千穂)
MOVING Live 0 in Kyoto
会期:2014/09/06
五條會舘[京都府]
2011年に2度のプレイベントを行ない、2012年に第1回を開催した、映像芸術祭「MOVING」。2015年2月に予定されている第2回に先立ち、映像×音楽をコンセプトとしたライブパフォーマンスが開催された。出演者は、浦崎力×てあしくちびる、山城大督×swimm、宮永亮×志人、柴田剛×池永正二の4組(いずれも映像、音楽の順)。両者の関係性を大別すると、それぞれが独立した作品、映像による音楽の演出、以前制作したミュージックビデオをもとに映像と音楽を発展させる、といったところ。当日は悪天候で、会場の空調設備が貧弱だったため蒸し風呂のような状態になったが、4組とも良質なコラボレーションを展開してくれたおかげで濃密な一時を過ごすことができた。10月19日には千葉県柏市のキネマ旬報シアターでも公演が行なわれる。首都圏の方におすすめしたい。
2014/09/06(土)(小吹隆文)