artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2013

会期:2013/09/14~2013/11/24

六甲ガーデンテラス、自然体感展望台六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ケーブル、六甲ヒルトップギャラリー、オテル・ド・摩耶(サテライト会場)[兵庫県]

今年で4度目の開催となる「六甲ミーツ・アート(以下、RMA)」。そのテーマは、ピクニック感覚で山上に点在する現代美術を鑑賞することにより、六甲山の豊かな自然環境を再認識することだ。回を追うごとに評判が高まり、いまや秋の関西を代表する美術イベントになりつつある。今年は39組の作家が出品し各会場で見応えのある展示を行なったが、なかでも六甲高山植物園と六甲オルゴールミュージアムは質・量ともに充実していた。この2会場は昨年も見応えがあり、もはやRMAの顔といっても差支えないだろう。また、今年からパフォーマンスを中心とした「公演部門」が新設されており(5組が出演)、その成否が注目される。いま数多くあるアート・イベントのなかで、珍しく民間企業(阪神電鉄)が主催するRMA。それでいて無闇に企業色を押し出してこないところも好感が持てる。今後紅葉の時期になれば、一層魅力的なアート&自然体験ができるだろう。

2013/09/13(金)(小吹隆文)

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あいちトリエンナーレ2013「フェスティバルFUKUSHIMA in AICH!」

会期:2013/09/07~2013/09/08

オアシス21[愛知県]

オアシス21で開催された大友良英によるフェスティバルFUKUSHIMA!のオープニングは、観衆にまぎれ、あちこちに散らばった老若男女、さまざまな楽器をもった人たちが、ルールに基づく、シンプルなリズムとメロディによって即興的なオーケストラを奏でる。梅田が振り付けた3人のダンスのように、ばらばらの個性を維持しながら、ひとつの音楽としてのうねりとエネルギーを発散する。最後の盆踊り大会は、それぞれに人の輪がまわる櫓が林立するなか、遠藤ミチロウが歌い、多くの地名を連呼したり、「ええじゃないか、ええじゃないか」とみなが合唱した。音楽の力で、おばあちゃんからパンクの兄ちゃんまで、さまざまな人が一緒に踊る風景は幸せな気分をもたらし、感動的である。大勢に混じって、梅田やアジアのダンサーも踊っていた。フェスティバル福島は、あいちトリエンナーレのテーマ「復活」にふさわしいイベントである。テーマに土建屋的な「復興」ではなく、精神的な「復活」の言葉を選んだのは、まさにこれだった。ちなみに、原発事故が大したことではないと言って、東京オリンピックが決まった日に、あいちでは福島を想う、福島発のイベントを開催することができて本当によかったと思う。

2013/09/08(日)(五十嵐太郎)

ほっかいどう大マンガ展

会期:2013/07/13~2013/09/08

札幌芸術の森美術館[北海道]

札幌芸術の森美術館「ほっかいどう大マンガ展」を見る。いがらしゆみこ、安彦良和、寺沢武一、相原コージ、今敏、山本直樹、高橋しん、花輪和一、吾妻ひでおほか、北海道出身や在住の作家を大量に紹介しているが、その多さに改めて驚く。また原画で10頁ほど連続して展示するため(物語の最小単位として)、多くの壁が必要となるのも、マンガならではだった。ゆえに、右→左の読む方向をいかに整理し、動線をデザインするかも重要である。

2013/09/02(月)(五十嵐太郎)

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花開く江戸の園芸

会期:2013/07/30~2013/09/01

江戸東京博物館[東京都]

江戸時代のガーデニングを紹介する展覧会。園芸を楽しむ人びとやその光景を描いた浮世絵や屏風絵、摺物のほか、関連する資料などが展示された。
石によって構築されたヨーロッパの都市に比べて、木によって構成された江戸には、かねてから緑が豊富だったことはよく知られている。本展を見ると、植物を愛でる文化が当時から盛んだったことがよくわかる。
江戸の園芸文化を爆発的に広げたのが、植木鉢の普及である。これにより栽培と販売の両面にわたって植物は人びとの日常生活の隅々にまで行き渡った。四季に応じて色とりどりの草花を楽しむ営みが江戸の風物詩になったのである。
ただ、この園芸文化の起源が植木鉢に求められることは事実だとしても、より正確に言えば、それは植木鉢が設置される空間、すなわち路地である。もともと狭い路地に、それでもなおおびただしいほどの植木鉢を並べることで、たんに機能的な路を色鮮やかに装飾したのだ。これはすぐれて美学的な問題であることは明らかだ。
たとえばジェントリフィケーションの渦中にある下町では、旧住民の植木鉢が交通の障害になるとして、新住民がその排除を訴えることが多いと聞く。しかし、本展で詳らかにされていたように、これまでも生活と園芸は分かち難く結ばれていたし、それゆえ路地と植木鉢は決して切り離すことはできない。このことを理解できない新住民こそ、草花の美しさやそれらを愛でる感性を磨くべきだろう。

2013/08/31(土)(福住廉)

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プレビュー:六甲ミーツ・アート 芸術散歩2013

会期:2013/09/14~2013/11/24

六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ケーブル、六甲ヒルトップギャラリーオテル・ド・摩耶(サテライト会場)[兵庫県]

神戸の六甲山上に点在する、さまざまな施設を会場に行なわれるアートイベント。都市に隣接しながらも豊かな自然環境が残る六甲山の魅力を、ピクニック感覚の山歩きとアート作品を通して再認識できるのが大きな魅力だ。4度目の開催となる今回は、開発好明、國府理、クワクボリョウタ、西山美なコ、袴田京太朗など35組のアーティストによる展示が見られる。また、新たに設置された公演部門で、明和電機、森山開次×ひびのこづえ×川瀬浩介など5組のパフォーマンス公演も行なわれる。年々評価が高まっているイベントだけに、4年目のさらなる飛躍を期待したい。なお、会場が山上ということもあり、気候の変化が大きいのも「六甲ミーツ・アート」の特徴。ご観覧の際は、暑さ、寒さ、雨への対策をお忘れなく。会期後半の紅葉シーズンにもう一度訪れるのもおすすめだ。

2013/08/20(火)(小吹隆文)