2018年10月15日号
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artscapeレビュー

瀬戸内国際芸術祭2016 大竹伸朗《針工場》

2016年11月01日号

会期:2016/10/08~2016/11/06

豊島・家浦[香川県]

第3回をむかえる瀬戸内国際芸術祭もいよいよ最後の会期、秋会期がスタートした。瀬戸内の島々ではすでにお馴染みとなった大竹伸朗が、ここ豊島でも新作を発表している。旧メリヤス工場跡を舞台に、宇和島の造船所に放置されていた漁船用の木型を逆さまに置いた作品である。全長17メートル、一見して保存状態もよく造形としても堂々とした存在感を放つそれは、実際には約30年間にわたって放置されていた廃棄物のようなもので、強度に乏しく、そのままのかたちで輸送するために内側に鉄骨を組んでFRPを塗り重ねなければならなかったという。豊島到着後は、島の人々の協力をえながら港から人力で牽引した。
大竹伸朗は1990年代に愛媛県宇和島にアトリエを構えている。瀬戸内では、直島の家プロジェクトでかつての歯科医院を作品化し、女木島では休校中の小学校でオブジェ等の作品を手がけている。いずれの作品もパワフルなコラージュで、平面ではないものの、その印象は画家(ペインター)の仕事の延長線上にあった。それらと比べると、本作はシンプルで整然としている。入り口付近を除いて、何ひとつペイントされていない。しかしいつものあの荒ぶる勢いを抑制したというよりも、芸術祭のコンセプトをそのまま具現化してみせたかのような作品で、そこには、海と島と、瀬戸内の人々のかつての営みが感じられた。[平光睦子]

2016/10/09(日)(SYNK)

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