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琳派四百年 古今展 細見コレクションと京の現代美術作家

2015年07月01日号

会期:2015/05/23~2015/07/12

細見美術館[京都府]

琳派の祖とされる本阿弥光悦が洛北・鷹峯を拝領してから400年にあたる今年、京都市内では琳派400年にちなんだ多彩な催しが行われている。本展もその一つだが、必ずしも琳派にこだわった企画ではない。京都ゆかりの現代美術作家、近藤 弘、名和晃平、山本太郎が、細見コレクションから共演してみたい作品を選び、自作とのコラボレーションを繰り広げたのだ。近藤はセルフポートレイトの磁器オブジェを平安・鎌倉期の仏具と組み合わせるなどし、名和は鹿とカナリアをモチーフにした「Pix-Cell」を館蔵の《金銅春日神鹿御正体》や円山応挙の《若竹に小禽図》に並置させるなどした。また山本は、敬愛する神坂雪佳、中村芳中、鈴木守一といった琳派の画家たちと共演することにより、自身に内在する琳派的素養を明らかにした。「古」と「今」の共演がこれほど面白いとは。本展は、数ある琳派400年の催しのなかでもトップクラスの成功例と言えるだろう。

2015/05/23(土)(小吹隆文)

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