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田中一光 美の軌跡

2015年07月01日号

会期:2015/06/13~2015/07/20

奈良県立美術館[奈良県]

戦後日本のグラフィック・デザインを代表する巨匠、田中一光(奈良県出身、1930~2002)。彼の業績を「舞台」「花」「文字」など6セクションに分けて概観すると同時に、その根底にある日本文化を参照する意味で、館蔵の能面、能装束、浮世絵などの古美術品を並陳した。田中の個展は過去に幾度も開催されており、奈良県立美術館でも2013年に行なったばかり。しかし今回は、日本の伝統美術と対比することで田中の創作のルーツと美意識のエッセンスを抽出しており、過去の個展と比べてもユニークな仕上がりとなった。また、近年の奈良県立美術館が進めている分かりやすさ最優先路線、すなわち、作品解説の増設と文字の大型化は今回も踏襲されていた。この方針に異を唱える人もいるだろうが、今や館の個性として定着してきたように思う。

2015/06/13(土)(小吹隆文)

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