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超絶刺繡II──神に捧げるわざ、人に捧げるわざ

2015年07月01日号

会期:2015/04/18~2015/06/28

神戸ファッション美術館[兵庫県]

古今東西における布に糸を縫い付けて文様を形づくる「刺繍」作品から、人間の手技の素晴らしさを実感できる展覧会。展示は大きく五つに分けられている。ひとつ目の「刺繍黄金時代」と題されたところでは、近代ヨーロッパ・インド・中国等の王侯貴族・有閑階級が着用した豪華で目にも艶やかな地域独特の衣装における、非常に繊細でいて芸術的な手仕事に圧倒される。たんに人の手で縫い付けられたとは思えないような、拡大写真が必要なほど細かな刺繍と、透けそうなほど上質な木綿や絹でつくられた着衣に、さまざまな材料・色彩を使ってひと針ひと針施された刺繍が織りなす意匠は、自然の草花から生物、幾何学的文様まで幅広い。通覧すれば、洋の東西のお国柄のコントラストが際立つ。二つ目「花鳥風月」の展示では、日本の着物にみられる自然を象る刺繍、京都の「京刺繍」作品(会場入口では多様な技法の解説あり)が展示されている。ここから祭りに捧げられた刺繍──京都祇園祭の「長刀鉾(なぎなたぼこ)」、長崎くんち(長崎市の諏訪神社の祭礼)の「傘鉾(かさぼこ)」──が展覧された。そこでは、日本の様式化された動植物、後者ではとりわけ写実的な本物と見まがうような海の生物の刺繍を見ることができる。最後の「オートクチュール」のところでは、美しいドレスの仕事に思わずため息が漏れる。[竹内有子]

2015/06/20(土)(SYNK)

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