artscapeレビュー
水田寛「中断と再開」、新平誠洙「windows upset」
2015年07月01日号
会期:2015/06/09~2015/07/18
ARTCOURT Gallery[大阪府]
ともに1980年代生まれで、京都市立芸術大学出身・在籍中の画家、水田寛と新平誠洙のダブル個展。両者の作品は複数のイメージがレイヤー状に重なる、あるいは混在する点で共通するが、作風はまるで異なる。水田が主観的な記憶や情景をモチーフとし、丸みを帯びた線描と色鮮やかな色彩を用いるのに対し、新平のイメージ処理は反射や透過など光学的で、色調もモノトーン主体だ。また、水田がキャンバスを縫い合わせることがあるのに対し、新平は複数のキャンバスによる組作品を得意としている。このように異なる個性を持つ2人の作品だが、自己の境界線に対する意識や、異なる時空を自在に操る姿勢には共通性が感じられる。それは、デジタル技術が発達し、高度にネットワーク化された社会で育った世代の原風景なのだろうか。純正アナログ世代の筆者には窺い知れない、しかし現在の空気感を率直に反映した表現が、そこにはあった。
2015/06/12(金)(小吹隆文)