artscapeレビュー

内海信彦展

2018年07月01日号

会期:2018/06/05~2018/06/16

Fei Art Museum Yokohama[神奈川県]

屏風48面、計36メートルにおよぶ《INNERSCAPE 2016-18 “MULTIVERSE”》を中心とした展示。会場に入ると、観客を囲むように屏風が立ちふさがる。そこには、墨流しというか垂らし込みというか垂れ流しというか、たっぷりの墨を画面において風を送り墨を流すことで得られた複雑な流動的パターンが現出している。見ようによっては大洪水にも大津波にも見えないことはない、黙示録的世界観といってもいいかもしれない。手法としてはシュルレアリスムに近いが、内海はそれを「古代中国の画家がもっとも重視した「気」の力が顕現させる自然そのもの」とし、「そこに近代主義的な絵画への強烈な対抗文化を見出し」ている。キャンバスではなく屏風仕立てにしているのはそのためだ。画面をよく見ると、48面は墨の流れによって大きく3グループに分類でき、さらに継ぎ目で4枚ずつに分けられる。おそらく4枚単位で制作していったのだろう。これを物語として読めるだろうか。

2018/06/08(村田真)

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