artscapeレビュー
クリスチャン・ヤンコフスキー Floating World
2018年10月15日号
会期:2018/09/15~2018/10/28
岡山からの帰り、クリスチャン・ヤンコフスキーを見るため京都で降りる。ヤンコフスキーは昨年のヨコトリで、ポーランドの重量挙げ選手が時代がかったモニュメントを持ち上げようとする写真を出品したベルリン在住のアーティスト。レーニンの肖像画をディカプリオに変身させたザ・プロペラ・グループとともに笑える作品だったので、もっと見たいと思っていたら、京都市立芸大がヤンコフスキーを招き、地域社会をリサーチしながら学生たちとともにつくりあげた作品も展示しているというので、立ち寄った次第。
彼が京都でなにをやったかといえば、緊縛師・龍崎飛鳥とのコラボレーションによりみずから縛られ、尻も露わに宙づりにされたという。わざわざベルリンから京都の大学に招かれて緊縛されるとは、なんてステキなアーティストでしょうね。その緊縛の残骸がロビーの吹き抜けにぶら下がり、緊縛写真がメインビジュアルとしてポスターやチラシに使われている。
ほかに、シュプレー川の流れの音を録音してモルダウ川で流し、逆にモルダウ川の音をシュプレー川に流す映像作品もあったが、今回は両者をミックスして鴨川に流す映像も付け加えた。顔や身体に落書きしたり珍妙な扮装して寝る姿を撮った《We are innocent when we sleep》、水面からいきなり顔を出して「アートは〈今〉である」とか一言いってまた潜る、という動作を10人くらいの男女が繰り返す映像もある。出品作品の大半は2018年の新作だが、1点だけ1992年の旧作があって、これがおもひどい(おもしろい+ひどい)。スーパーで買い物をするのに、弓矢で目当ての商品を射抜き、矢のついたままレジで会計を済ますという映像。都市における狩猟のつもりだろうが、日本でやったら捕まるぞ笑。
2018/09/28(村田真)