artscapeレビュー

一つ柳恋路展「あたいを愛してたも〜れ」展

2018年10月15日号

会期:2018/09/24~2018/09/29

藍画廊[東京都]

日本橋川、神田川、隅田川を通る「お江戸日本橋舟めぐり」の神田川コースを堪能した後、陸に上がって日本橋から銀座まで画廊回り。そのなかで気に入ったのではなく、気に障った個展がこれ。作者は68歳の現役東京造形大生だそうだ。大学は教授もたいてい65歳で定年だから、だれよりも高齢だ。でもこれから会社を定年になって「自分は本当はこれをやりたかったんだ!」と美大に入学してくる高齢者学生が増えてくるはず。その意味では先駆的お手本になるかもしれない。でもやってることは、ダダカンみたいに裸になったり、エノチューみたいに髪を半分だけ刈ったり、根本敬にそっくりのドローイング描いたり、細い彫刻に小魚をまぶした「チリメンジャコメッティ」出したり。もし大学に入ってこれらのネタを発想したとすれば百害あって一利なし、大学なんか行かないほうがいい。そういうシャレや小細工ではなく、本気の破壊衝動が見たい。貸し画廊も悪くないが(とくに藍画廊は良心的だが)、本気で目立ちたいならもっとキケンな場所を選ぶべきだ。

2018/09/29(村田真)

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