artscapeレビュー
チェ・ジョンファ個展 花ひらく森
2019年12月15日号
会期:2019/11/15~2020/02/24
GYRE GALLERY[東京都]
チェ・ジョンファといえば、チープなプラスチック製品をブランクーシよろしく垂直に積み上げたり、蛍光カラーのハリボテの花や動物を街角に設置したり、日本でも作品をしばしば見かける韓国のアーティスト。今年の六本木アートナイトではメインアーティストとして、六本木の夜を極彩色に彩ってくれたのが記憶に新しい。
チープな素材とポップな色彩がトレードマークだが、今回はそんな予想を覆す意外な素材も使っている。たとえば、工芸品と見まがう年代物の洗濯板、角の丸くなった発泡スチロールの浮子、さまざまな色とかたちのボルト、使い古した鍋・やかん、工事で使用済みの鉄筋など、およそチープ、ポップからほど遠い質実剛健な素材ばかり……と書いて、いま気がついた。これらは年季が入って民芸化しているように見えるけど、本を正せばチープでポップなものばかりじゃないか。彼はなんでもいいからたくさん集めているわけではなく、素材を周到に選りすぐっているのだ。ぱっと見変わったように見えるけど、そして古いものに目を向けた点で作家として老成したように装いつつ、実はなにも変わってないよと舌を出しているのかもしれない。
2019/11/30(土)(村田真)