artscapeレビュー

二人「二人のショー」

2020年03月01日号

会期:2020/02/01~2020/02/29

Gallery 工房 親 CHIKA[東京都]

「二人」(Two People)は、宇田川直寛と横田大輔によって2019年夏に結成されたアーティスト・ユニット。宇多川も横田もそれぞれ日本の写真表現の最前線を切り開いてきたが、2016年から北川浩司を加えた「Spew」というユニットでも活動し始めた。今回は北川が抜けた「二人」名義での発表になる。

「Spew」のときもそうだったのだが、彼らの発表はきちんとまとまった「作品」を見せるよりは、その制作のプロセスをそのまま提示することが多い。今回の展示もそうで、ライティングを落として暗くした会場に、複数のモニターやスクリーンが並び、バラバラの映像を流していた。どうやら「二人」は北海道らしき北の方に旅をしたようで、その途中の光景や、彼らがそれぞれの写真観を語る映像+音声などが、アトランダムに目に飛び込み、耳に入ってくる。他に会場には、互いに互いの作品をコラージュして制作した作品や、旅の途中の写真をミニアルバムにおさめた手作り写真集なども置いてあった。

今回の展示は、まだ小手調べという感じを受けた。ノイズを重ね合わせるようなインスタレーションも、やや中途半端な印象を受ける。もう少し、ユニットの活動が展開していけば、よりスリリングな展示が期待できるのではないだろうか。会場を変えて、次の企画を実現してほしい。なお、本展は第12回恵比寿映像祭の一環として開催された。キュレーションは、元川崎市民ミュージアム学芸員の深川雅文である。

2020/02/12(水)(飯沢耕太郎)

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