artscapeレビュー

黄金町バザール2020─アーティストとコミュニティ

2020年12月01日号

会期:2020/11/06~2020/11/29

京急線日ノ出町駅・⻩金町駅間の高架下スタジオ/周辺のスタジオ/地域商店/屋外空地ほか[神奈川県]

ヨコトリの会期に合わせたレジデンス・アーティストによる第1部は終わり、推薦と公募で選ばれた6カ国9組のアーティストによる第2部が始まった。海外アーティストの来日を待って時期を遅らせたものの、結局コロナが長引いて来日はかなわず、リモートによる制作・展示となった。そのせいもあるかもしれないが、全体に低調だった。

そんななかで輝いて見えたのが、インドネシアのアルフィア・ラッディニによる《Sailormoonah》というインスタレーション。ギャラリー中央に太い角柱を設け、四方からプロジェクターで四面にひとつの彫刻を映し出している。公園に一時設置された銀色の彫刻は、タイトルから察するにセーラームーンのキャラクターらしいが、スカートが長いうえヒジャブをつけたムスリム・バージョン。四角い台座にはインドネシア語で「この彫刻をどう思うか?」「好きか? 嫌いか?」「壊すべきか?」などの質問が書かれ、チョークで意見が書けるようになっている。セーラームーンもイスラム圏では長いスカートをはき、ヒジャブをつけなければいけないこと、そんなアニメのキャラが公共彫刻になっていること、それに対してどう思うかを問い、市民が答えていること。「アーティストとコミュニティ」のテーマに沿った示唆に富む作品だ。

2020/11/16(月)(村田真)